「フィレンツェカード」は、フィレンツェのほとんどすべての美術館や宮殿に、予約・行列なしで入場することのできるフリーパス。72時間有効で85ユーロと、それなりにお値段はしますが、使い方次第ではとても便利なカードなんです。
観光の滞在時間を効率的に使って、たくさんの美術館などを楽しみたいあなたは必見、その使い方・購入方法などのすべてを公認観光ガイドが徹底レクチャーします!!
目次
フィレンツェカード(プラス)、リスタートとは
フィレンツェカードには通常のタイプ「フィレンツェカード」と「フィレンツェカード+(プラス)」というタイプの2種類があります。
また、後で追加できるオプションとして「リスタート」が用意されています。
フィレンツェカードとは
対象60施設(美術館、宮殿、教会、ヴィッラなど)のフリーパスで、予約不要でいつでも好きな時に入場できるカードです(各施設1回ずつ)。
フィレンツェカード対象になる施設はこちら:地図で見る。
公式サイト掲載リストはこちら:フィレンツェカード公式サイト 対象施設(英語)https://www.firenzecard.it/en/musei
住所や施設概要のほか、日にちごとの営業時間も確認できます。
- ヴェッキオ宮殿
- ステファノ・バルディーニ美術館
- メディチ・リッカルディ宮殿
- ストロッツィ宮殿
- マリーノ・マリー二美術館
- スティッベルト美術館
- サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂
- ブランカッチ礼拝堂*要予約
- ミニチュア歴史博物館
- サルヴァトーレ・ロマーノ財団コレクション*要予約
- メディチ家礼拝堂
- ウフィツィ美術館*要予約
- アカデミア美術館*要予約
- ピッティ宮殿-パラティーナ美術館と王家の居室
- ピッティ宮殿-近代美術館
- ピッティ宮殿-ボーボリ庭園
- ピッティ宮殿-大公たちの宝物殿
- ピッティ宮殿-衣装博物館
- 考古学博物館
- 輝石博物館
- ダヴァンツァーティ宮殿
- サン・マルコ美術館
- バルジェッロ国立美術館
- ペトライアのメディチ家別荘*要予約
- チェッレート・グイディのメディチ家別荘と周辺狩猟区域*要予約
- カステッロのメディチ家別荘庭園
- ポッジョ・ア・カイアーノのメディチ家別荘*要予約
- ルイージ・ペッチの現代美術館
- シナゴーグとイスラム美術館
- ガリレオ博物館
- フィエーゾレのバンディーニ美術館
- フィエーゾレの考古学歴史地区
- 自然史博物館(人類学と民俗学セクション)
- 自然史博物館(地質学と古生物学セクション)
- 自然史博物館(植物園セクション)
- サンタ・クローチェ聖堂
- カーザ・ブォナロッティ(ミケランジェロの家)
- ダンテの家博物館
- フランコ・ゼッフィレッリ美術館
- 捨て子養育院美術館
- ムゼオ・ノヴェチェント(現代美術館)
- サン・ロレンツォ聖堂
- スカルツォ(跣足)修道会の回廊
- サルヴァトーレ・フェラガモ美術館
- プラトリーノのメディチ庭園(ヴィッラ・デミドフ)
- ミゼリコルディア信心会美術館
- ロベルト・カーザモンティコレクション
- カステッロのコルシーニ別荘*要予約
- サッカー博物館
- アルノルフォの塔(ヴェッキオ宮殿)
- バルディーニのヴィッラと庭園
- 自転車選手G.バルターリの博物館
- パオロ・グラツィオーズィ先史博物館
- アンドレア・デル・サルトの『最後の晩餐』
- サンタポッローニアの『最後の晩餐』(アンドレア・デル・カスタンニョ)
- 科学技術財団
- プリモ・コンティ財団
- エンリコ・カルーゾ美術館*要予約
- ギルランダイオの『最後の晩餐』(オンニッサンティ教会)
- ホーン美術館
- ベルヴェデーレ要塞
- ロドルフォ・スィヴィエーロの家
- カーザ・マルテッリ美術館
対象施設には最も有名なウフィツィ美術館、アカデミア美術館を始め、ピッティ宮殿やヴェッキオ宮殿、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会、メディチ家のヴィッラ<別荘>など主要な観光名所がすべて含まれています。
カードは最初に入場した施設から72時間有効。
フィレンツェに2~3日滞在してたくさんの美術館をまわる場合はお得になる可能性大です!
価格は85ユーロ。滞在中、1~2つの美術館しか行かない、という場合は必要ないかもしれません。
ただし、後でご説明しますが、たくさん美術館に行く予定であってもオフシーズンだとそもそも観光客の数が激減するので優先入場の恩恵はあんまりありません…
フィレンツェカードプラスとは
「Firenze Card +(フィレンツェカードプラス)」は、通常のフィレンツェカードにプラス7ユーロで購入することができ、追加機能として以下がついてきます。
- 公共交通機関(Ataf社のバス、トラム)72時間乗り放題
- 対象美術館のガイド小冊子
- オリジナルバッグ
- パートナー企業利用時の割引あり
リスタートとは
2018年12月に新しく導入された制度で、フィレンツェカード(プラス)の有効期間72時間で見ることができなかった施設を、追加料金で訪ねることができるものです。
リスタートの購入金額は28ユーロ→無料、有効時間はリスタートを使って初めていずれかの施設に入場した時から数えて48時間。
フィレンツェカードの有効時間を終えてすぐに利用することもできるし、数か月後など時間を置いてから使うこともできます。ただし、後者の場合、最初にフィレンツェカード(プラス)を購入してから12か月以内であることが条件。
また、最初に購入したのがフィレンツェカードであっても、リスタート購入時にフィレンツェカードプラスの機能を追加することもできます。
フィレンツェカードの購入方法
現地で購入
現地購入の場合、特に記入したりするものもありませんし、事前購入でバウチャーと引き換えるよりも、その場ですぐに売ってくれるので意外と楽かも…
フィレンツェカードを現地購入できる場所
以下のいずれかの窓口にて、(身分証明書とともに)購入することができます。
*最近はあまり身分証明書の提示を求められませんが、一応、ルール上は必要なことになっています。
【購入窓口】
- サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂チケット売り場(Piazza Stazione 4/月-木, 土 9:30-16:30; 金 11:00-16:30;日 12:00-16:30)
- ムゼオ・ノヴェチェントチケット売り場(Piazza Santa Maria Novella 10/木曜日以外 11:00-20:00/現金のみ)
- ピッティ宮殿チケット売り場(Piazza Pitti 1/火-日 8:15-17:50)
- 駅前ツーリスト・インフォメーション(Piazza Stazione 4/月-土 9:00-19:00; 日祝 9:00-14:00)
- カヴール通りツーリスト・インフォメーション(Via Cavour 1r/月-金 9:00-13:00)
- ヴェッキオ宮殿チケット売り場(Piazza della Signoria/月-水, 金-日 9:00-18:00; 木 9:00-13:00)
- ステファノ・バルディーニ美術館チケット売り場(Via dei Renai 37/金-月 11:00-16:15/現金のみ)
- ブランカッチ礼拝堂(Piazza del Carmine 14/金, 土, 月 10:00-16:15; 日 13:00-16:15)
- バルジェッロ国立博物館チケット売り場(Via del Proconsolo 4/月, 水-土, 第2&第4日 8:15-13:15)
- ウフィツィ美術館前売りチケット売り場[2番の扉](Piazza degli Uffizi/火-日 8:15-17:30)
- ストロッツィ宮殿チケット売り場(Piazza Strozzi/毎日 10:00-18:00)
- ミゼリコルディア美術館チケット売り場(Piazza Duomo 20/月-土 10:00-16:00/カードのみ)
有効期間の72時間は購入した瞬間ではなく、最初の施設に入場した時からカウントして72時間有効です。
オンライン購入
バウチャーと引き換える方法
オンラインで購入した場合、当日は引き換え窓口でバウチャーを提示してカードの現物と引き換えます。
フィレンツェカード公式サイトの購入ページより、必要事項を記入し、支払いを済ませると、バウチャーがEメールで送られてきますので、それを印刷して以下の引き換え窓口のいずれかに行きます。
【引き換え窓口】
- 駅前ツーリスト・インフォメーション(Piazza Stazione 4/月-土 9:00-19:00; 日祝 9:00-14:00)
- アメリゴ・ヴェスプッチ(ペレトラ)空港1Fツーリスト・インフォメーション(Via del Termine 1/毎日 9:00-19:00)
- カヴール通りツーリスト・インフォメーション(Via Cavour 1r/月-金 9:00-13:00)
- ヴェッキオ宮殿チケット売り場(Piazza della Signoria/月-水, 金-日 9:00-18:00; 木 9:00-13:00)
- ステファノ・バルディーニ美術館チケット売り場(Via dei Renai 37/金-月 11:00-16:15/現金のみ)
- ブランカッチ礼拝堂(Piazza del Carmine 14/金, 土, 月 10:00-16:15; 日 13:00-16:15)
- ストロッツィ宮殿チケット売り場(Piazza Strozzi/毎日 10:00-18:00)
- ミゼリコルディア美術館チケット売り場(Piazza Duomo 20/月-土 10:00-16:00/カードのみ)
チケットは引き換えた瞬間ではなく、最初の施設に入場したときからカウントして72時間有効です。
アプリで使う方法
iPhone・Androidそれぞれに対応する専用アプリが用意されているので、そちらをインストール(Itunes, Google Play)して使うこともできます。
アプリを利用する場合はアプリをダウンロード後、バウチャーに記載してある13桁のコードを入力します。
子ども料金ほか、購入・利用する際の注意点
子ども料金
18歳未満のお子様は、フィレンツェカード保持者の親御さん同伴の場合、対象施設に無料で入場できます(事前登録要。現地購入の際はその場で登録手続きをしてくれます)。そのため、お子様の分のフィレンツェカードを買う必要はありません。
シニア割引
シニア割引はありません。
障がい者割引
フィレンツェカード自体には、割引料金はありません。
ただ、ハンディキャップをお持ちの方とその同伴者(1名)は多くの施設でもともと入場無料です。
障がいがあることを証明するもの(日本語のみ記載のものでは確認できない可能性があります。詳細は各施設にご確認ください)を係員に提示すると専用入り口に案内されます。
※優先入場するためには予約料金の支払いが必要
その他の注意点
その他の不明点や詳しい情報は公式サイトへ!
フィレンツェカードの使い方
フィレンツェカードを入手したら、いざ観光に出発!!
対象となる施設には赤い目印が立っていますので、そのエリアに行って係りの人にフィレンツェカードを提示すると、案内してくれます。
たいていはチケット売り場または入り口で係りの人にフィレンツェカードを手渡すと、専用の小さな機械(カード払いするときのような機械)にフィレンツェカードを読み取らせ、レシートのような控えをくれますので、それが入場チケットになります。
アプリ利用の場合は対象施設の画面を開いて提示します。
ただし、以下3つの施設については例外で、フィレンツェカードを持って直接入場口へ行ってもすんなりとは入場できません。
ドゥオモ・クーポラの場合
大聖堂およびドゥオモ関連施設(ジョットの鐘楼/サン・ジョヴァンニ洗礼堂/サンタ・レパラータ教会遺構/ドゥオモ付属博物館)はフィレンツェカードの対象外です。
- ドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)は入場無料です。また、フィレンツェカードによる優先入場権はありません。通常の入場口から並んで入場します。
- その他のドゥオモ関連施設(サン・ジョヴァンニ洗礼堂、ジョットの鐘楼、ドゥオモ付属博物館)は共通チケットが必要です。
ウフィツィ美術館の場合
ちなみに、優先入場のための予約は必須ではありますが、フィレンツェカード保持者のための予約枠は確保されていますので、現地に来てみて予約が取れないということはありません。また、予約No.を持っていない場合でも「優先入場」ができないだけ(予約なしの人と同じ列に並ぶ)で、フィレンツェカードにチケット料金は含まれています。
現地では予約者用のチケット引き換え窓口3番(Via Lambertesca, 2, 50122 Firenze)」へ行き、フィレンツェカードを提示の上予約No.を伝えて入場券を発行してもらいます。
入場券を発行してもらったあとは、美術館入り口へ。1番入り口です。
ここを入ると、セキュリティチェックを通過し、順路に沿って3階入り口へ(ウフィツィ美術館は3階からルートが始まります)。
ウフィツィ美術館は、まれに出るときにもチケットを見せるよう言われることがありますので、最後まで捨てず、失くさずに持っておきましょう。
アカデミア美術館の場合
現地では予約者用のチケット引き換え窓口「My Accademia(Via Ricasoli, 105, 50122 Firenze)」へ行き、フィレンツェカードを提示の上予約No.を伝えて入場券を発行してもらいます。
入場券を受け取ったら、次は個人予約者用入り口(ENTRANCE RESERVED)へ。チケット引き換え窓口の向かい当たりで、先頭の人は「RED POINT」と書かれた小さな看板があるところから並んでいます。
建物へ入った後、セキュリティチェックを通過したところの入り口に係員がいますので、そこでチケット(レシートのような)を発行してもらいます。
あとは順路に沿って見学を開始しましょう!
入り口を入って右の廊下を行くと楽器コレクション、
アカデミア美術館で出会える音楽史。ピアノの発明はフィレンツェだった!左に行くとダヴィデ像です。
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フィレンツェカードは72時間・多くの著名な施設で有効とはいえ、85ユーロと決して安くはない金額のカードです。
では、果たして買うべきなのでしょうか?
それは、観光の仕方によって答えが変わります。
お得な場合:ハイシーズンかつ5施設以上見学する場合
例えば、人気の観光名所のうち、以下の3か所をまわるだけでも、予約した場合のコストはこうなります(2024年2月現在/大人1名当たり)。
- ウフィツィ美術館とピッティ宮殿とボーボリ庭園のセット券:夏期38ユーロ/冬期18ユーロ
- アカデミア美術館:16ユーロ
→合計:夏期54ユーロ/冬期34ユーロ
もし、これに加えて仮に以下の美術館からいくつか行くとすると、コストはさらにこんな感じに(2023年1月現在/大人1名当たり/予約なし)。
- メディチ家礼拝堂:9ユーロ
- ヴェッキオ宮殿+アルノルフォの塔:25ユーロ
- サンタ・マリア・ノヴェッラ教会:7.5ユーロ
- サンタ・クローチェ教会:8ユーロ
- サン・マルコ美術館:8ユーロ
これらのすべてを行かなかったとしても、最初の3施設に追加して2~3か所(合計5~6施設)ぐらい行くとすると、入場料+予約料+手間+並ぶ時間を考えれば結構お得だと言えるのではないでしょうか。
というわけで、ハイシーズンのフィレンツェは本当に観光客が多いので、「金額的に元を取る」というよりもほとんどの美術館で予約者同様、優先的に入場できるメリットに価値があると思います♪そして毎度列に並んでのチケットの購入や予約の手間を省くという意味で、使いやすいのではないかと思います!
お得じゃない場合:ローシーズンや以下の組み合わせの場合
11月半ば~2月半ばのローシーズンは、観光客の数は激減し、街中の人もかなり減る日が多いです(年末年始を除く)。
そんなときはフィレンツェカードのメリットである「優先入場」はあまり意味がありません。そもそもほとんど人が並んでいなくて予約を取らなくてもさっと入れてしまう日すらあります。
また、ローシーズンはチケット料金が安くなるところもあります。さきほどと同じ組み合わせでも冬季の場合、フィレンツェカードを買うよりも個別にチケットを買った方がお得になります(2024年2月現在/大人1名当たり/予約なし)。
- ウフィツィ美術館とピッティ宮殿とボーボリ庭園のセット券:夏期38ユーロ/冬期18ユーロ
- アカデミア美術館:16ユーロ
→合計:夏期54ユーロ/冬期34ユーロ
特にローシーズンでチケット料金だけで元を取ろうとすると、あと50ユーロほどなのでプラス4~5か所(合計8~9か所)ほどの場所を追加することになりますが、特に最初の3つはいずれも規模の大きな美術館なので、3日の滞在で合計8か所を見学するとなると結構ハードなスケジュールになってきます。
とはいえ、この想定は予約しない場合ですので、万一、実際に行ってみたら入場のための行列になっていた…など、時間をロスしてしまう可能性はなくもないですね。
ローシーズンは「優先入場」メリットが感じられない、かつチケット料金も安い…ということからハイシーズンに比べてフィレンツェカードの価値がちょっと少ないかもしれません。フィレンツェカードを利用してのウフィツィ美術館やアカデミア美術館の予約は現地に来てからでも可能ですので、一度様子を見てからでもいいのではないかなと思います
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フィレンツェ旅行、どんな服装で行く?天気と気候を知って旅行計画を立てよう!フィレンツェカードの購入方法・美術館の予約方法等、不明点はフィレンツェカード公式サイトへお問い合わせください。