サンドロ・ボッティチェリ作「春(プリマヴェーラ)」まさに春の喜びが溢れた幸せいっぱいの名画!

      2017/07/18

春(プリマヴェーラ) サンドロ・ボッティチェリ, 1482頃 ウフィツィ美術館, フィレンツェ

フィレンツェで最も有名なダヴィデくんと並んで、もう一人の有名人、ヴィーナスちゃん

彼女が登場する「ヴィーナス誕生」はあまりに有名ですが、同じ作者ボッティチェリの有名作品がもう一つあります。

それは、「春(プリマヴェーラ)」。

見ているだけで幸せ(*´▽`*)になるような、華やかな画面と密やかなラブストーリー

ヴィーナスやキューピッド、三美神をはじめとする神話の人物がたくさん登場するロマンチックな世界!

そこに何が描かれているのかわかって見ると、一枚の絵画がより身近に、美しさも増して感じられます。



ボッティチェリの「春(プリマヴェーラ)」はここに注目!

まずは、全体を見てみましょう。

大きさ

Primavera Sandro Botticelli, 1482ca Galleria degli Uffizi, Fireze

春(プリマヴェーラ)
サンドロ・ボッティチェリ, 1482頃
ウフィツィ美術館, フィレンツェ

 

写真や映像でイメージするより、実物は非常に大きなパネルに描かれています。

そのサイズは 203cm×314cm!! 液晶テレビなら140インチ!!

(大きすぎて逆にわからない 😀 )

ちょっとお部屋の壁にかかっていると想像してみてください…ね、大きいでしょ?

 

描かれているもの

そして、全体から受ける印象はとても綺麗で、華やか

美人・美男がたくさん♡と、たくさんのお花や植物が描かれていて、まさにタイトルそのものの「

にぎやかで華々しい感じ。

 

旅好き女子ナナミちゃん
でもどれが誰で、みんな何をしているんだろう…?

 

パっと見ただけじゃあまりわからないですよね。

 

実はこの作品、数あるボッティチェリの代表作の中でも、解釈が最も難解だと言われています。

 

研究者によって解釈は色々と分かれていますが、今日は私の一番お気に入りの話を解説します!

 

まずは、画面に描かれている人物のご紹介。

 

中心にいるのはヴィーナス。愛と美の女神です。

 

venere

 

ヴィーナスの上にいるのがその息子、キューピッドアモレ、エロスとも言います)。

 

cupido

 

そして画面右から、青い顔をした西風の神ゼフィロス、ニンフのクロリスzeffiro

 

花の女神フローラ

 

 

ヴィーナスをはさんで反対側には三美神tre-grzie

 

そして一番左にいるのが神々の使いマーキュリー(ヘルメス)。mercurio

 

この人物たちが、春の到来を祝っている…でもそれだけじゃないんです。

 

それぞれの人の視線の先を追ってみましょう(=゚ω゚)ノ

 

見どころをもっと詳しく解説!

ゼフィロスとクロリス、フローラ

zeffiro画面の一番右にいるゼフィロスは、西風の神様。春の訪れを告げる使者とされています。

 

ギリシア神話の中では、生まれたばかりのヴィーナスを岸に運んだり、

 

プシュケをアモレの神殿に運んだりと大活躍。笑

 

その彼が恋した相手が、ニンフ(妖精さん)のクロリス。

 

ゼフィロスのすぐ左横に描かれた、可憐な女性です。

 

二人は結婚することになり、妻となったクロリスに、ゼフィロスは花を咲かせる力を与えます。

 

よく見ると、クロリスの口からは植物の一部が出ていますね。

 

そして、このクロリスが変身した後の姿が、そのさらに左横にいる花の女神フローラ

 

 

 

つまり、この二人は同一人物なのです。

 

旅好き女子ナナミちゃん
なんで同時に存在してるの…?

 

細かいことを気にしてはいけません。

 

ここは神話の世界。ナンデモデキル。

 

フローラは花の女神なので、この世のありとあらゆる花を咲かせる力を持っています。

 

彼女自身も冠から襟元、身に着けている衣のすべてが様々な花で彩られています。

 

手元にはこれから大地に咲かせる花々を持っています。

 

よく見ると、フローラの足元の花々が一番きれいに、大きく咲いているのがわかりますか?

 

flora-2

 

また一説では、フローラはゼフィロスの子を宿した姿で描かれているともされています。

 

三美神

tre-grzieヴィーナスをはさんで左側にいる三人は「三美神」。

 

美と優雅を司る、ギリシア神話に登場する女神たち三姉妹で、ヴィーナスの侍者とされることもあります。

 

「三美神」については、誰を含めるのか、昔からとてもたくさんの説があるのですが、

 

一番一般的なのはヘシオドスの示した

 

  • アグライア(典雅・優美)
  • エウプロシュネー(喜び)
  • タレイア(花盛り・繁栄)

 

の三人とする解釈。

 

三人は手を取り合って輪になって、祝うように踊っているようです。

 

両側の二人はネックレスや、髪飾りなど、とても豪華なアクセサリーをつけています。

 

みんな、身に着けているのがシースルーのとてもセクシーな衣装なので、よりその豪華さが目立っています。

 

でもここでちょっと気になるのが三美神のうち、真ん中の女性(エウプロシュネー(喜び))。

 

彼女だけは少しよそ見をしているようで、心ここにあらずといった感じです。

 

その視線の先にいるのは…

 

マーキュリー

左端の男性、マーキュリーです。

 

別名ヘルメスともいい、神々の使い、商人の神様です。

 

あの有名ブランドエルメスはヘルメスのフランス語読みですね!

 

ガイド学校の先生 カテリーナ
といってもここから名前をとったわけではなく、創業者の名前がエルメスさんというそうよ

 

マーキュリーは何をしているのでしょうか?

 

上方を見やって、彼のシンボル、カドゥケウス(ケリュケイオンとも)と呼ばれる杖を使い、

 

こちらに来ようとしている暗雲を追い払うしぐさを見せています。

 

また一方で、マーキュリーは神々の使者というその役割から、神々の世界と人間の世界を取り持ってくれる存在ともされていて、神話の世界で訪れた春の喜びを人間の世界に知らせてくれる窓口であり、そのためこの外の世界を暗示させる配置にされているとか。

 

このマーキュリーと、彼を一途な瞳で見つめるエウプロシュネー、

 

二人がまさに恋におちようとしているその瞬間を描いたもので、それを示しているのが…

 

キューピッド(アモレまたはエロス)

cupido
ヴィーナスの上にいるキューピッド

 

その金色の矢で射られた者は恋に落ちてしまうとされていますが、いままさにキューピッドの矢はエウプロシュネーめがけて放たれようとしています。

 

キューピッドが目隠しをしているのは「恋は盲目」を表しているんですって( *´艸`)

 

ヴィーナス

venere
そして最後に、この場面全体の中心に位置するのが愛と美の女神、ヴィーナス

 

ここは彼女の国、愛と美しさであふれた理想の世界なのです。

 

その中心に彼女は位置しており、他の人物と比べてひときわ目を引く配置になっています。

 

これは、背景がほとんどの部分が林の中にいるように描かれているのに対し、ヴィーナスの後ろ部分だけがまるで後光がさしているかのように半円に明るく描かれている効果です。

 

ガイド学校の先生 カテリーナ
作者ボッティチェリは、こういった神話モチーフの作品を描くときは特に、遠近法などの現実世界にはあまり興味を抱いていなかったのよ!それよりも彼の頭に浮かんだ神話的、理想の世界を再現することが大事だったのでしょうね

 

いつ、なぜボッティチェリはこの絵を描いたのか

この作品、「春」が描かれたのは、1482年頃とされています。

 

誰の注文でボッティチェリはこの作品を描いたのか、詳しくはわかっていません。

 

当時の情報で記録されているのはわずかに、1500年代半ばにヴァザーリが「ヴィッラ・ディ・カステッロ」というメディチ家の別荘で
「ヴィーナスの誕生」と一緒に見た、ということ。

 

その前にはフィレンツェ市内ラルガ通り(現 通り)のメディチ邸にあった、という情報のみ。

 

そのため注文主や目的は諸説ありますが、一般的には、結婚式のために注文された、とされています。

 

いかにも絵の雰囲気や、描かれているテーマが結婚向きですもんね!(*‘ω‘ *)

 

恋に落ちる瞬間だったり、結婚して子どもができたカップルだったり…

 

なんと言ってもそれを象徴する愛と美の女神ヴィーナスが君臨していますから。

 

注文主はロレンツォ・イル・マニフィコ(ロレンツォ豪華王)、彼が親戚であるロレンツォ・イル・ポポラーノ(ロレンツォ・ディ・ピエロフランチェスコ・ディ・メディチ)という人物の結婚式のために贈った、という説が広く知られています。

 

ロレンツォ・イル・ポポラーノ自身が注文したとする説もあり、まさに諸説あり

 

それにしてもよくあることですが、イタリア人の名前ってキリスト教の聖人由来のものが多いので、名前がかぶって誰の話をしているのかわかりづらくてしょうがない!(;・∀・)

 

どちらにしても、描かれている内容や表現から、公的(=キリスト教的なもの)ではなく、私的な目的のために描かれたという点はどの解釈も一致しています。

 

ガイド学校の先生 カテリーナ
この絵には、メディチ家の人々がモデルとされた人が一部描かれているのよ

 

それは、左のマーキュリーと、彼と恋に落ちようとしているエウプロシュネー

 

マーキュリーは、当時もっとも勢いのあったフィレンツェの実力者、ロレンツォ・イル・マニフィコ(ロレンツォ豪華王)の弟であるジュリアーノ・デ・メディチ

 

ジュリアーノ・デイ・メディチ

il ritratto di Giuliano dei Medici

Sandro Botticelli, 1478ca

 

そして、エウプロシュネーは当時フィレンツェ一の美女と大評判だったシモネッタ・ヴェスプッチ

 

シモネッタ・ヴェスプッチの肖像 サンドロ・ボッティチェリ、1485年頃 丸紅本社 役員フロア

シモネッタ・ヴェスプッチの肖像
サンドロ・ボッティチェリ、1485年頃
東京都 丸紅本社

 

ボッティチェリはシモネッタの大ファンだったようです。

 

彼女をモデルにあのヴィーナスの誕生も描いたとされていますし、ボッティチェリの作品に登場する女性の顔は、ほぼこの系統の顔。

 

ガイド学校の先生 カテリーナ
ウフィツィ美術館には彼の絵がずらりと並んでいるから、この点に注目して鑑賞しても面白いわね

 

作者ボッティチェリがどんな人か気になったあなたはこちらの記事をどうぞ!

 

 

ヴィーナスやマーキュリー、三美神に会いたくなったらウフィツィ美術館へ!!

 

ウフィツィ美術館 / Galleria degli Uffizi
住所:Piazza degli Uffizi, 6
営業時間:火-日 8:15-18:50 (チケット売り場は18:05まで)
休館日:毎週月曜日、1月1日、5月1日、12月25日チケット:8ユーロ(学生等4ユーロ)※毎月第一日曜日は全員無料
◎企画展開催期間中は追加料金あり(+4.5ユーロ)
◎予約料金別途4ユーロ
◎フィレンツェカード対象施設
◎オーディオガイド (一名用)6ユーロ(ニ名用)10ユーロ※身分証明が必要
「春」の他にも、ボッティチェリの作品は「ヴィーナス誕生」「東方三博士の礼拝」「受胎告知」「マニフィカトの聖母」「ひわの聖母」「誹謗」など、多数展示されています。

 

この記事を書いた人
フィレンツェ在住の公認観光ガイド、Azuです。
得意ジャンルは美術、街歩き、ワイン。好きな芸術家は、ブロンズィーノ。有名作品もいいけど、隠れ注目ポイントや裏話が大好き!普通のガイドブックじゃ見つからない、”ここだけの話“をお伝えします♪ 詳しいプロフィールはこちら
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