フィレンツェのシンボルのひとつ、ポンテ・ヴェッキオは珍しい2階建ての橋、なんとその2階部分は美術館の一部で、「ヴァザーリの回廊」と呼ばれています。
フィレンツェがメディチ家に統治されていた時代、当主コジモ1世がジョルジョ・ヴァザーリに設計を指示し、ピッティ宮殿からウフィツィ美術館を経由してヴェッキオ宮殿に至る長ーい廊下が設計されました。その全長、なんと1km!これらの歴史的モニュメントの間を、街を見下ろしながら空中散歩するための廊下です。
えっ、すごーい!!ここ、入れるの??
残念ながら2024年現在は諸事情により、一般公開はされていません。が、ついに、年内に再公開されるかも…!?というニュースが出てきました!
目次
ヴァザーリ…って??
ヴァザーリというのは、16世紀フィレンツェで活躍した芸術家で、当時のメディチ家当主コジモ1世が絶大な信頼を置いていました。
彼は、この他にもウフィツィ宮殿を設計したり、ヴェッキオ宮殿内の天井・壁を素晴らしいフレスコ画や板絵で装飾したり、宮殿内にコジモ1世の息子フランチェスコ1世のための書斎を建設したりしました。
サンタ・クローチェ聖堂内のミケランジェロの墓碑モニュメントも彼のプロジェクトです。
見どころたくさん、『フィレンツェのパンテオン』サンタ・クローチェ聖堂。二度目のフィレンツェ旅におすすめ!またたくさんの芸術家の伝記(「芸術家列伝」)をまとめ、彼のおかげで古い芸術家についての情報が伝わったのです。
史上初めて存命中の芸術家(ミケランジェロ)の伝記を書いたことでも知られています。
ヴァザーリの回廊には何がある?
それでこのヴァザーリの回廊なんですが、ヴァザーリが設計し、わずか半年ほどで完成させたという、ヴェッキオ宮殿・ウフィツィ美術館・ピッティ宮殿を結んでいる、全長約1kmの長~い廊下です。
最近ではダン・ブラウンの書いた「インフェルノ」の舞台となり、主人公たちが逆ルート(ピッティ宮殿→ヴェッキオ宮殿)で大爆走するシーンが描かれています!
中にはコジモ2世の息子で枢機卿のレオポルドと、孫のコジモ3世が集めた、数々の芸術家の自画像コレクションをはじめとするたくさんの美術作品で飾られています。
ちなみにこの自画像コレクション、現在はウフィツィ美術館の2Fに移されているので、鑑賞できますよ~
2024年現在、内部改築のため閉鎖中
2016年9月、一般公開再開→しかし…
実は2016年、7月上旬にあまりの暑さに安全上の理由から閉鎖されてしまっていたのですが、それが9月下旬から再開されました。
完全予約制で、ここを訪れるためには10名以上のグループでなくてはいけません。
(12歳以下は入場不可)。
でも、残念ながらここには個人では行けないのです。
また最大人数も22名まで、それを超える場合はグループを分割するようですが(各グループに回廊の専門引率係がつきます)、それでも同時に入場できるのは88名まで、と色々と制限があります。
しかし!世界でも有数の自画像コレクションが一堂に会しているのは、非常に珍しく、またそこからみるアルノ川の風景はそこでしか見られない極上のもの。
一度は見てみたいですね!
なお今回、再開はされましたが、11月末までの期間限定となっています。
2016年12月2日追記:「ヴァザーリの回廊」次回オープンは2018年の予定!
2016年11月30日をもって最後の観覧客を迎え入れ終わった「ヴァザーリの回廊」ですが、この後改装工事に入るようです。
改装工事の内容は、入場者の安全と非常時の出口ルート確保、それに伴う肖像画コレクションの移動など。
2016年12月2日のニュースでそのことが伝えられましたが、この先2年間は回廊は閉鎖されてしまうようです。2年後、新しくなった回廊は、現在最低でも50ユーロ以上という高額な入場料が安くなるだろうと見込まれているようですが…
さて、どうなるのでしょうね。
2018年9月7日追記:再開予定はさらに延期…2020年の夏かな??
こちらの記事によると、さらにこの先2年は再開が難しそう…とのこと。
改修工事には700万ユーロの費用が予想されており、主にこの経済的な問題のため、完成までの時間は少なくとも1年半…
ヴァザーリが設計した時にはたった半年で完成した廊下ですが、現代では色々な問題や思惑が絡んでか、フクザツなようですね。
2019年4月11日追記:再開予定はさらにさらに延期…2021年で、今度こそ決定か!?
2019年2月18日に更新されたウフィツィ美術館公式サイトの情報によると、再開の目途が立ったとのこと!!
とはいえ、イタリアですし、これまでの経緯もありますし、100%信じていいのかどうかはちょっと置いといて…💦
公式サイトの記載によると、10,000,000ユーロ(=約13億円)(!)の工事費をかけて2021年以降にオープンの見通しが立ったようで、年間50万人の訪問を受け入れる予定とあります。
ただ、今回の改装はかなり大がかりだったもののようで、変更点がたくさん書かれています。
主なものは以下の通り。
- これまであった肖像画コレクションはヴァザーリの回廊からは撤去し、ウフィツィ美術館内部へ移動
- 回廊内には古代彫刻のほか、1500年代~1800年代の剥離フレスコ画を展示予定
- 近年巻き込まれたテロや第二次世界大戦時の被害状況がわかる資料を展示予定
- ハンディキャップを持つ人もアクセス可能に
- 内部は一定の温度を保つよう空調施設を整備
- 新たに5つの出口を設置
再開時、回廊内は一方通行で、入り口はウフィツィ美術館側から、出口はピッティ宮殿側と決まっています。
新しい入り口はウフィツィ美術館の西棟1Fに作られる予定で、そこからエレベーターにてアクセスするようです。
安全上の理由から、一度に回廊内に滞在できる人数は最大125名とコントロールされ、入場者は出口でボーボリ庭園に出るか、ピッティ宮殿内に出るかを選択することができるとのこと。
本当に予定通りオープンしたなら世界中からこの日を待っていた!という観光客が大殺到しそうな予感も…
入場できる人数に制限がありますので、早め早めに予約しないと、特にハイシーズンは厳しい状況になりそうですね。
とはいえ、再開する日は楽しみです!!
2023年1月31日追記:再開予定は未定…
そうこうしているうちに世界中でCovid19が流行し、イタリア全土もロックダウン、からの復活、とそれなりの年月が流れましたが、相変わらずヴァザーリの回廊は閉鎖中です。
さらに、以前は再開予定なども書かれていた公式サイトですが、現在は「再開やアクセス方法などの詳細のニュースはこちらのサイトでお知らせします」と書いてあるのみ。
現段階では、残念ながら再開のめどは立っていないようです。
2023年10月16日追記:再開予定は2024年5月!?
というわけで、長らく次のお知らせがないままに閉鎖され続けていたヴァザーリの回廊ですが、久々に明るいニュースが!
10月13日付で、トスカーナ州知事エウジェニオ・ジャーニ氏の「この回廊の建築を注文したコジモ1世と設計を担当したジョルジョ・ヴァザーリの死去450年を記念して(二人は偶然にも同じ年の数か月違いで亡くなったのです)、2024年5月27日、”新しい”ヴァザーリの回廊のお披露目スペシャルイベントが開かれるでしょう!」というコメントが報じられました。
そういえば数日前、10月12日に、アメリカ・ネヴァダ州のEdwin L. Wiegand Foundation di Renoがヴァザーリの回廊の内装のために100万ドル(≒1億5千万円)を寄付した、というニュースがありました。これで一気に目途がついた!という感じなんでしょうか。
2024年7月30日追記:ついに2024年内に再開か!?
というわけで6月ぐらいにオープンするのか…?と思っていましたが、やはり相変わらずその兆しは見えません(ちなみに5月に予定されていた再開セレモニーは工事が間に合わず、延期されたそうです)。
が、2024年7月2日、ウフィツィ美術館長シモーネ・ヴェルデ氏が記者会見で「(2024)年内の再会を見込んでいる」と公表したとのこと!また、この時に「最初のアクセスは秋の終わりごろまでに可能になる予定」とも言及したそうです、が…
まぁでもぶっちゃけ、こんなに何回も延期してるから、、という気持ちもありますよね、、
公式サイトでの正式な発表はまだですが、ようやく長かった改装工事に終止符が打たれそうな気配…?再開が待ち遠しいですね!
新生・ヴァザーリの回廊の詳しい情報についてはこちらにまとめました!
新生『ヴァザーリの回廊』、2024年内にオープン予定…!?