フィレンツェの観光スポット:世界でここだけ!異色の教会、オルサンミケーレ。

      2017/01/20

オルサンミケーレ教会

Pocket
LINEで送る

ドゥオモヴェッキオ橋、ウフィツィ美術館など名だたる観光地が並ぶフィレンツェの街で、

中心にありながらひときわ異彩を放っている教会があります。

その名をオルサンミケーレ(菜園の聖ミカエル)教会といいます。

起源を1000年以上前に古く遡るこの建物、見た目も中身もとっても変わっていますよ。

あまり目立たず知られていませんが、その秘密に迫ってみましょう♪



オルサンミケーレ教会はここにあります

オルサンミケーレ教会

オルサンミケーレ教会は街の中心にあります

フィレンツェの街はとても小さくて、ドゥオモやヴェッキオ宮殿、ウフィツィ美術館など

主な観光スポットがほぼすべて徒歩でまわれてしまうぐらい、コンパクトです。

オルサンミケーレ教会はそれらの集まる中心地の中でもさらに中心地

どこに行くにも徒歩5分程度で行けてしまう非常に便利な立地。

恐らく、フィレンツェを観光する際に、必ず1度は通っていることでしょう。

まずは外観…彫刻がいっぱい!?

まずは外観を眺めてみましょう。

そもそも形が四角くて、まるで普通の住宅やお店などの建物のよう。

ドゥオモみたいに、十字架の形をしていません。

そして、一定の間隔で壁につけられた壁がん(穴)のところに、

大理石やブロンズなど色々な素材で、人の彫刻が置かれています。

商業組合と守護聖人

ゾウの はなこちゃん
このたくさんの彫刻は、いったい何??
フィレンツェのマルゾッコさん
説明しよう!
フィレンツェのマルゾッコさん
これらの彫刻は、すべて聖人を形どっているんだ
フィレンツェのマルゾッコさん
それぞれの像は、中世フィレンツェでとても重要な機能を果たした組合の守護聖人で、当時の人気芸術家によって作られたんだよ
ゾウの はなこちゃん
組合って…?
フィレンツェのマルゾッコさん
中世のフィレンツェではそれぞれの職業の人たちが、自分たちの産業や利益を守りスムーズに運営できるよう、組合を作っていたんだ。「両替商組合」とか、「武器甲冑職人組合」とか、「革職人組合」とか…
フィレンツェのマルゾッコさん
農協とか、漁協みたいなものをイメージしてくれたらいいんじゃないかな
ゾウの はなこちゃん
ほほぉ…

壁がんに置かれている聖人たちは、例えば、西面の聖マタイは「両替商」の守護聖人。

これはイエスの弟子になる前に聖マタイが徴税人であったことに由来しています。

解説のひと
壁がんの聖人・作者・組合の組み合わせはこうなっています

 

orsanmichele

 

フィレンツェ人一押しはコレ!

特に評価が高いのは北面で一番西側の、

ドナテッロによる聖ゲオルギウスとその台座の下にある浅浮き彫りの彫刻。

ドナテッロ 聖ジョルジョ

Donatello
San Giorgio, 1415ca
Museo del Bargello, Firenze

 

下部分は竜と戦って姫を救出する聖ゲオルギウスという、

なんだかRPGに出てきそうなシーンが表現されています。

(ちゃんと伝説に基づくものです…)

img_1284
この作品がなぜそんなに重要かというと、

このように平面的な浅彫りでありながらきちんと遠近法を感じられるように表現した

スティアッチャータ」という彫り方を、

この作品においてドナテッロが初めて開発したからです。

 

姫の後ろにはうっすらと宮殿らしき建物が見て取れ、それは手前から奥に向かって

だんだんと空間が小さく表現されて奥行を感じ取れますよね。

全体の遠近法は一点透視図法で表現されていて、すべての視線が

最終的に戦いのさなかの聖ゲオルギウスに集中するようになっています。

解説のひと
彼が活躍した1400年代前半、友人のブルネレスキが理論として遠近法を彼に伝授したのです

 

人事異動もありました!?

また、長い歴史の中で注文主の意向で

注文主
もっと流行りのカッコいい像がほしい!

と、彫刻が入れ替えられた例もあります。

 

東側のジャンボローニャによる聖ルカがそうで、

最初は別の芸術家による大理石の聖ルカ像が置かれていましたが、

約200年後、古びた壁がんを手直しする際に像もブロンズにリニューアル注文したのです。

ジャンボローニャ作聖ルカ

San Luca
Gioambologna, 1602ca
Chiesa di Orsanmichele, Firenze

 

また、東側のヴェロッキオ作・聖トマスの像の場所にも、

もともとは現在サンタ・クローチェ教会に保存されている

ドナテッロの聖ルドヴィコがありました。

疑いの聖トマス

Incredulità di San Tommaso
Andrea del Verrocchio, 1483ca
Chiesa di Orsanmichele, Firenze

 

ここにもともとあったのはこちら。

聖ルドヴィコ

San Ludovico di Torosa
Donatello, 1425ca
Museo della chiesa di S.Croce, Firenze

 

 

解説のひと
それぞれの壁がんには台座の部分にその組合の活動が表されていたり、上部に紋章がついていたりしますので、それもチェックしてみると面白いかもしれません。

 

 

内装はこんな感じ!

オルサンミケーレ教会内部

オルサンミケーレ教会内部

 

教会内部は広々とした一部屋だけの空間で、正面右手にとても豪華な、

14世紀半ばのオルカーニャ作の祭壇があります。

オルカーニャ作 主祭壇(オルサンミケーレ教会)

オルカーニャ作
主祭壇(オルサンミケーレ教会)

 

祭壇の細かく豪華な装飾は見事なゴシック様式です。
この教会は建設されたときに聖母マリアに捧げられたため、

上部のステンドグラスは聖母マリアの生涯のシーンが表現されています。

 

正面左側には聖母子と、マリアのお母さん聖アンナの3人の像があります。

聖母子とマリアの母アンナ

聖母子とマリアの母アンナ 左がマリア、右がアンナ

1343年、フィレンツェの危機を救ったとされる聖アンナに感謝するために

フィレンツェ市によって1500年代前半、注文されました。

 

さて、内部にはよく見ると謎の穴があります。

柱の下の方に謎の穴…?

柱の下の方に謎の穴…?

一部の柱の下の方に何やら怪しげな穴が。

近づいてみてみましょう。

謎の穴…?

???

 

さて、この穴は何のためのものなのでしょうか??

解説のひと
答えはこの教会の歴史を知るとわかりますよ!

 

 

こんな歴史を持つ教会です

この教会は、一風変わった歴史を持っています。

 

中世より、フィレンツェにおいて宗教の中心地はドゥオモ政治の中心地はヴェッキオ宮殿でした。

この二つの場所を結ぶ重要な道がカルツァイウォーリ通り(Via dei Calzaiuoli)

そのちょうど中間に位置するのがこのオルサンミケーレ教会です。

 

とても変わった建物で、その歴史は8世紀頃にさかのぼります。

この場所は周辺を菜園に囲まれ、大天使ミカエルに捧げられた小さな祈祷所がありました。

解説のひと
ここから名前をOrto(菜園)+ San(聖なる)+ Michele(ミカエル)=Orsanmichele、オルサンミケーレと呼ばれるようになったのです

 

13世紀中ごろに町はこの祈祷所を取り壊すことを決め、

1290年にアルノルフォ・ディ・カンビオ小麦市場のための回廊(ロッジャ)を建設します。

そう、あのドゥオモを建設した彼です。

当時の人気建築家で、この時代のフィレンツェの街の建築物の多くは彼の手によるものです。

アルノルフォ・ディ・カンビオ

アルノルフォ・ディ・カンビオ

 

小麦市場として営業を開始したのもつかの間、

1304年に大規模な火事が建物を襲い、すべては灰になってしまいました。

この場所からポンテ・ヴェッキオまでの一帯を全て焼き尽くした、

大きな火事だったということです。
それから約30年後にロッジャは現在の大きさで再建されました。

だから、外観をよく見ると当時の様子がなんとなく想像できます。

すべて開放されたアーチ型で、外と中が自由に行き来できる状態だった部分を後に塗りふさがれています。

現存する建物でいうと、こちらの「子豚ちゃん」の銅像が有名なメルカート・ヌオーヴォなどのような形です。

メルカート・ヌォーヴォ

メルカート・ヌォーヴォ

このアーチ部分を壁でふさいでひとつの建物にしました。

 

ふさがれたのは1300年代後半のことで、同時に2階・3階部分も小麦の倉庫として増築されます。

その後外壁には14の壁龕(へきがん)が作られ、そこにそれぞれ彫刻が置かれました。
1400年代後半には小麦市場は移転され、この建物は教会となりました。

 

さて、先ほど出てきた柱の謎の穴ですが、わかりましたか?

答えは、こういうこと!!

come-funziona

市場だった頃、2階部分は倉庫として使われていたので、

1階の柱には上の倉庫と小麦を上げたり下ろしたりするため

使われた穴が残っています。

 

このように異色の経歴を持つ教会ではありますが、

この教会は、他の観光地となっている教会と比較しても少し厳しめです。

観光の際は内部では大きな声を出さない走らない露出の多い服装では入場しないなどの

ルールを守りましょう。

フラッシュ撮影もNGですよ!

 

実は…隠れ「見晴らしスポット」なんですよ

ゾウの はなこちゃん
ここの建物って見た目には3階ぐらいありそうなのに、入り口はひとつだけ、階段もなさそうだけど…上はどうなってるの??

 

実は隠れ階段が入り口の左側にありまして、ここからは2階と3階の美術館に

アクセスすることができます。

ただし、開いているのは毎週月曜日のみ

入り口の左手に隠れ階段があります

入り口の左手に隠れ階段があります

 

2階の美術館には、外側の壁がんに置かれている聖人像のオリジナルがあります(※)。

外側で見られるのは実はすべてレプリカ。

フィレンツェのマルゾッコさん
やっぱり屋外にあるから傷みが激しかったり、部品の盗難に遭ったりしてしまうんだ…
オリジナルは並べてみると意外なほど大きさの違いがあったり。

東面の彫刻

東面の彫刻
向かって右から聖ルカ、聖トマス、洗礼者ヨハネ

ゾウの はなこちゃん
ルカさん、大きいねぇぇ!!!

 

ブロンズ像は後ろが空洞になっていたり

「疑いの聖トマス」の後ろ

「疑いの聖トマス」の後ろ
空洞です!!

 

解説のひと
ブロンズはとても高価なものだったので、見えない部分は節約していたんです…笑

 

外のレプリカでは盗まれてしまった部品があったり

洗礼者ヨハネ(左)

洗礼者ヨハネ(左)
十字架を持っています

 

洗礼者ヨハネ(外)

洗礼者ヨハネ(外)
十字架が盗まれてしまいました

と、じっくり観察してみるとなかなか楽しめます。

※ドナテッロの聖ゲオルギウスのオリジナルだけはこの美術館になく、バルジェッロ国立博物館で見ることができます。

 

ちなみにこちらの美術館、3階まで上るとかなり見晴らしがよく、

ドゥオモやヴェッキオ宮殿などを同時に楽しむことができます♪

オルサンミケーレ教会3階からの見晴らし

オルサンミケーレ教会3階からの見晴らし

 

オルサンミケーレ教会
公式サイト:http://www.bargellomusei.beniculturali.it/index.php?it/171/museo-di-orsanmichele
開館時間:毎日 10:00-17:00 (入場無料)

 

オルサンミケーレ教会付属美術館
教会に入って左手の階段より上る
開館時間:毎週月曜日(10:00-17:00)のみ開館(入場無料)

 

 

Pocket
LINEで送る

 - 観光スポット , , , , , , , , , , ,