フィレンツェ人の誇り、美しきドゥオモのファサード。

      2017/01/20

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街全体が歴史地区として世界遺産に登録されているフィレンツェ。

ドゥオモはその中心にあり、美しさ・壮麗さからどんな人でも思わず

うわぁっ
と感嘆の声を上げずにはいられません。

街の一番大事な建物ですから、600年にも渡ってフィレンツェ人たちは政治家から商人・詩人・芸術家、その他一般庶民に至るまで、大切に心を込めて造り、飾り立ててきました。

ドゥオモの正面部分のことを「ファサード」と呼びます。

ファサードは、ドゥオモの第一印象を決める大切な「顔」。

そこには、様々な想いが込められています。




圧倒的なオーラを放つドゥオモのファサード

フィレンツェのドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)のファサード

フィレンツェのドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)のファサード

ゾウの はなこちゃん
すごい!!なんだかカラフルだし、いっぱい飾りがついてるねぇ!!
Azu
でしょ!このファサードは初めてはもちろん、何度目にみてもびっくりしたり、感動したり、とにかくスルーはできないんだよね

 

 

このファサードは1887年完成の「ネオゴシック様式」。

解説のひと
ネオゴシック様式とは、ゴシック・リバイバルとも呼ばれ、イタリアでは13~14世紀に流行したゴシック様式の再評価により生まれたもの。尖塔アーチや上に伸びる高さのある建物が特徴です

 

何が表現されているのか、細かく見てみましょう!

 

全体を構成している素材

フィレンツェのマルゾッコさん
はなこちゃん、ドゥオモのファサードは、何の素材でできていると思う?
ゾウの はなこちゃん
えっ、うーん、やっぱり定番の大理石じゃないかなぁ?
フィレンツェのマルゾッコさん
正解。では、以外の部分はどうかな?
ゾウの はなこちゃん
うーんと、同じ大理石に見えるけど、ピンクのところは色を塗ったの?
フィレンツェのマルゾッコさん
残念!実は、これは全部天然のものだよ!!

 

 

そう、天然なんです!!

フィレンツェのドゥオモはその豪華な装飾も目をひきますが、カラフルな大理石がとっても印象的。

白い部分は、大理石が特産のカッラーラという海沿いの街から運ばれたもの。


解説のひと
ここのものは、巨匠ミケランジェロ愛用の大理石です

 

 

の部分は、プラートというフィレンツェから西へ25kmほどの街で採れるもの。


解説のひと
ちなみにこの緑の大理石はここでしか産出されません

 

 

そしてピンクの部分は、フィレンツェから南へ約80kmのシエナから運ばれました。

 

 

この3色が選ばれたのにはわけがあります。

カトリックの大切な考え方のひとつに、「対神徳」というものがあります。

解説のひと
簡単にいうと、信者が守るべき神さまとの約束事のようなものだと思ってください

 

 

「対神徳は」3つ、それぞれにテーマカラーがあります。

緑=「希望」
白=「信仰」
赤=「(無償の)愛、隣人愛」

 

 

これらは大切なテーマなので、よーく見ると絵画その他の美術品にはたくさん登場しているんですよ。
例えば、現在ウフィツィ美術館で見られる、ピエロ・デル・ポッライオーロ(+ボッティチェリ)作の七元徳がこちら(一部抜粋)。
3virtu
これを色だけ並べると…
イタリア国旗

ゾウの はなこちゃん
あっ、イタリア国旗だ!

※イタリア国旗の3色の意味の解釈は諸説あり。代表的なものは緑=自然(大地)、白=雪、赤=血とするものなど。

ファサード全体のテーマ

フィレンツェのドゥオモは、その名が示す通り聖母マリアに捧げられた大聖堂です。

解説のひと
正式名称を「サンタ・マリア・デル・フィオーレ(Santa Maria del Fiore)=花の聖母大聖堂」といいます

 

 

ファサードの中心には赤ちゃんイエスを抱く聖母マリア、そして3つの扉にはマリアの生涯の場面が描かれています。

 

 

ファサード中央扉 「聖母の被昇天」と「聖母の戴冠」

ファサード中央扉
「聖母の被昇天」と「聖母の戴冠」

ゾウの はなこちゃん
扉の模様なんて気にしたことなかったよ…こんな細かいところまでちゃんと細工がしてあるんだねぇ

 

登場する人物は全部で〇人!?

…というのは正直、数えきれないぐらいるんですが、大きめに表現されている人だけを数えても43人

ゾウの はなこちゃん
え?そんなにいる??

facciata-del-duomo-dettaglio

聖書の人物や聖職者だけでなく、地元の芸術家なども入っているというのは興味深い!!
レオナルド・ダ・ヴィンチガリレオダンテなど名前を知っている人がいるんだ、と思うとちょっと面白いですね。

ガイド学校の先生 カテリーナ
さすがに私でも全員は覚えてないわ~

歴史に翻弄されてきたファサード

現在のファサードは、1887年完成、エミリオ・デ・ファブリスによる設計のものです。

解説のひと
エミリオ・デ・ファブリスは、あのアカデミア美術館内にダヴィデくんのためのトリブーナを作った建築家です

フィレンツェのドゥオモと言えば、最も有名なのは「クーポラ」。

フィレンツェのドゥオモ

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオモ)

この部分は1436年、フィリッポ・ブルネレスキの考案した画期的な設計図に基づき、完成されました。
対してファサードの方は、その約450年後の完成です。

ゾウの はなこちゃん
どうしてファサードだけそんなに時間がかかったの?

実は現在のファサードは1887年に完成したのですが、ブルネレスキの生きていた時代には別のファサードがあったんです。

 

先代のファサード(1587~1887)

現在のファサードが完成するまでは、実は長らくこんな状態でした。

1860年のファサード Wikipedia「Facciata di Santa Maria Novella」より

1860年のファサード
Wikipedia「Facciata di Santa Maria del Fiore」より

ゾウの はなこちゃん
の…のっぺらぼう??

そうなんです。正確には、1689年にコジモ3世が長男グランプリンチペ・フェルディナンドの結婚式のために描かせた絵がうっすらと残っています。

実は、1587年から約300年間、こんな感じでファサードのない状態でした。

ゾウの はなこちゃん
なんで??大切なドゥオモのファサードなのに、こんなんじゃカッコ悪いんじゃないの?

確かに。

 

 

なぜかというと、1587年にメディチ家のフランチェスコ1世がファサードを取り壊したからなんです。
彼は、当時のファサードがもうスタイルとして時代遅れなので、新しいものを作ろうと、お抱えの宮廷建築家ベルナルド・ブォンタレンティに新しいファサードの設計を注文します。

 

…が、同年発注したフランチェスコ1世が死去。

そこでいったん計画は頓挫し、その後何代にも渡ってファサードの計画がされ、模型も作られましたが、どれも実現には至らず。

img_5355ベルナルド・ブォンタレンティ作
1587-1589?
img_5357ドン・ジョヴァンニ・デ・メディチ作(?)
16世紀
img_5361アカデミア・デッレ・アルティ・デル・ディゼンニョ作
1635
img_5363ゲラルド・シルヴァーニ作
1635-1636
ゾウの はなこちゃん
どれかが実現していたら、今は違うファサードだったのかもしれないねぇ!

 

 

1587年以前のファサード

img_3870

ベルナルディーノ・ポチェッティ, 1608-09 サン・マルコ美術館, フィレンツェ

 

この絵の奥に、1587年に取り壊される前のファサードが描かれています。

 

 

解説のひと
実はこの前にも、1491年にメディチ家のロレンツォ・イル・マニフィコ(Lorenzo il magnifico)が、ファサードを新しくしようとコンクールを開きましたが、入賞者なしということで延期となりました
img_1367

 

この時代のファサードを再現したものがこちら。

中途半端に下半分だけが完成しています。

これは1296年のアルノルフォ・ディ・カンビオの設計によるもの。
設計通り彫刻品などもきちんと置かれてはいますが、上半分は未完成っぽい感じです。

このファサードは、当時置かれていた彫刻と一緒にドゥオモ付属博物館で再現されています。

img_7347

1296年以前のファサード(予想)

santa-reparata
この頃は、まだドゥオモが「サンタ・マリア・デル・フィオーレ」ではなく、「サンタ・レパラータ大聖堂」と呼ばれていた頃。

ドゥオモ前の聖女レパラータ

ドゥオモ前の聖女レパラータ

聖母に捧げられる前は、聖女レパラータ(Santa Reparata)という3世紀頃の聖女に捧げられていました。

 

ちなみに、現在のドゥオモの地下にはサンタ・レパラータ教会の遺構があり、美術館や洗礼堂との共通券で入ることができます。

img_1414

ドゥオモ地下のサンタ・レパラータ教会

ドゥオモ付属博物館観光情報

先代ファサードの再現模型の他、何度か計画された模型も多数展示してあります。

その他、ミケランジェロの未完の「ピエタ」ドナテッロの「マグダラのマリア」を含む、ドゥオモ・洗礼堂・ジョットの鐘楼から集められた美術品のオリジナルの展示もあり、見ごたえ十分!!

 

ドゥオモ付属博物館 / Museo dell’Opera del Duomo
住所: Piazza del Duomo, 9
営業時間:毎日 9:00-20:00
休館日:なし(1月1日は休館。詳細は公式サイトにて確認)
毎月第一日曜日は全員無料
◎チケット:サン・ジョヴァンニ洗礼堂、クーポラ、ジョットの鐘楼、サンタ・レパラータ教会遺跡5施設共通券で15ユーロ(最初の入場から48時間有効)※2016年12月21日~2017年3月21日まで特別料金10ユーロ
◎フィレンツェカード対象施設

 

この記事を書いた人
フィレンツェの観光ガイド、Azuです。
初めてイタリアを訪れて以来、すっかり魅せられ毎年旅行するうちについに住んでしまい、観光ガイドに… ⇒詳しいプロフィールはこちら
既にフィレンツェファンの方も、イタリアのどこ?何があるの?な方も、楽しんでいただけるよう色々な情報を発信していきたいと思います。
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