1月6日はEpifania(公現祭)といって、カトリックの国イタリアでは祝日です。
新約聖書の中の「東方三博士が特別な星を見つけてキリスト(=救世主)を拝みに行く」というエピソードに基づき、フィレンツェでは歴史行列が行われます。
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ちょうど、日本で言うと京都の葵祭のように、その時代の衣装を着た人々が順々に行進していくというもの。
博物館などで見たような、古い時代の衣装を着て髪を結った人々がリズムに合わせて行進していく様子はなかなか見ものです。
目次
エピファニアの歴史行列
行列が進むコース
アルノ川の南側、ピッティ宮殿からスタートして、ドゥオモ広場まで、フィレンツェの歴史地区の中心を行列が通過します。所要時間は1時間半ほど。
2020年は14:00にピッティ宮殿前広場をスタートし、15:00頃ドゥオモ広場に到着する予定です。
雨天時は大聖堂内でセレモニーが行われます。
※入場できるのはフィレンツェ市民、コーラスの子どもたちと歴史行列の人たちに限定されています。
町並みに合った素敵な時代衣装
この歴史行列が始まったのは、1997年のこと。
この年、遡ること700年前、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオモ)の礎石が置かれたことを記念するイベントで行われたのがきっかけで、それから毎年、15世紀の慣習を模したこの行列が開催されるようになりました。
このイベントにはフィレンツェ市だけでなく、県内の他のコムーネ(自治体)からも参加しています。
行列の先頭は、東方の三博士(三王、三賢者とも)。
その衣装は、メディチ・リッカルディ宮殿内の礼拝堂にある、ベノッツォ・ゴッツォリ(Benozzo Gozzoli / 1420-1497)のフレスコ画を参考に再現されています。
広場に着いた三博士を待つのは、生きたプレゼーペ、つまりキリスト生誕のシーンを再現した役者さんたち。前日までは人形が置いてあった場所です。
この時代行列は、1447年から既に存在していました。
当時は、5年ごとに行われていたもので、今とはちょっとスタイルが違っていて、3つの異なる地区からスタートした行列がサン・ジョヴァンニ洗礼堂前で合流して、そのままサン・マルコ教会へ向かい、イエスの誕生を祝って歌と祈りを捧げていました。
行列のクライマックスはドゥオモ広場
行列が到着してから約45分ほどの式典のあと、大空に向かってたくさんの風船が放たれます。
BGMはヘンデル作曲の「ハレルヤ」。
ヘンデルもフィレンツェにゆかりの深い音楽家です。ここで学び、オペラに触れる機会を多数得たからこそ、彼の作品の多くが作られたのかもしれません。
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1月6日は「ベファーナ(Befana)」良い子にはお菓子、悪い子には…
イタリアの子どもたちが楽しみにしているもう一つの行事、それは「Befana」。
ベファーナおばさんは、東方三博士がイエスに会いに行く前に滞在した宿の女性。
東方三博士
ベファーナおばさん
東方三博士
しかし、このことをしばらくして後悔した彼女は
ベファーナおばさん
と急いで博士たちの後を追ったものの時すでに遅し。。
イエスのための焼き菓子をバッグに詰めて出発したんですが、結局イエスに会うことはできなかったとか(イエスは割とすぐ移動しちゃいますからね)。
それからずっと、彼女は神の子イエスを探してさすらっているという言い伝えがあります。
それで彼女はお菓子のたくさん入ったバッグを持ってウロウロしていて、この公現祭の日にはいい子たちにお菓子をプレゼントしてくれるのです。
ただし、前の年にいい子でなかった子はお菓子をもらえず、代わりに炭を持ってくるんだそうです。
なので、子どもたちは前日、寝る前に自分の靴下を枕元につるし、翌朝にお菓子があるか(炭かも)、ワクワクしながら眠りにつくのです。
ベファーナおばさんは去り際にクリスマスの飾りつけを全部持って帰ってしまうので、クリスマスツリーなどの飾りはこの日を最後に片づけられ、この1月6日のイベントを以てイタリアでのクリスマス期間は終わります。
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