今日入ったバールで懐かしいカンツォーネがかかっていました。
カンツォーネ(canzone)とは、イタリア語で「歌」の意味。これがフランス語だとシャンソン(chanson)になります。
カンツォーネとシャンソン…!なんだか随分イメージが違う…!
お国柄を反映してか、フランスのシャンソンはまったりちょっとアンニュイな感じで、淡々と歌うのがピッタリ。
それに対してイタリアのカンツォーネは、歌詞や言葉もはっきりと、元気よく歌うものが多いです。
といってもそもそも「歌」を指す言葉なので、必ずしもこの特徴通りなものばかりではありませんが…
日本では、カンツォーネと言えば主に二つのタイプ、1900年前後に書かれた特にナポリの大衆歌曲(カンツォーネ・ナポレターノ/canzone napoletano)または60年代~70年代に流行したイタリアン・ポップスのことを指すイメージです。
忙しいときに聞くとちょっとまったり癒される、イタリアのカンツォーネを聞いてみましょう(*´ω`*)
目次
古き良き名曲~カンツォーネ・ナポレターノ/canzone napoletano
私の太陽(オ・ソレ・ミオ)/O sole mio
この曲はナポリ方言の歌詞。
実はイタリア語の方言は、日本のそれよりもはるかに違いが激しく、イタリア人でさえ別の地方の方言を理解できないことも多々あります。
昔プーリア州(イタリアの地図で言うとかかとの部分)を旅行したとき、地元のおじいちゃんの話をナポリ(=カンパーニャ州)出身のイタリア人が全く理解できなくて、おじいちゃんの孫が通訳していたことがありました…
標準イタリア語を学んだ私たち外国人には、なお難しい…(´・ω・`)
というわけで、歌詞を検索してみるとなんと
「O sole mio testo in italiano(=オ・ソレ・ミオ 歌詞 イタリア語で)」とサジェストに出て来るという…
※サジェストとは、googleなど検索サイトで調べたい単語を入れると、関連しそうな単語を予測して表示してくれる機能のことです。
イタリア人も意味を調べるんですね!
内容は、
晴れた日はなんて素晴らしい、でも私のもう一つの太陽、君の顔はもっと輝いている!!
という感じです。
この動画で歌っている三大テノールはなかなかいいトリオで、歌の前後や途中にも内緒話して盛り上がってたり。
その様子が微笑ましくて、見ているだけで楽しくなりますヾ(≧▽≦)ノ
後ろのオケの人たちも爆笑してます。
ドミンゴとホセ(左の二人)がパヴァロッティ(右)にいつもいたずらを仕掛けてるのが、他の動画でもよくあるんですが、可愛くて♪
でもこの歌唱力の技術は、ほんとさすがです!!
フニクリ・フニクラ/Funiculi Funicula
これも聞き覚えがあるのではないでしょうか?
小さい頃に「鬼のぱんつ」で歌いました、私。もとはイタリアのカンツォーネだったんですねぇ。
フニクリ・フニクラというのは、実はあるケーブルカーの愛称なんです。
イタリア語でケーブルカーのことをfunicolare(フニコラーレ)と言います。
ナポリのヴェスヴィオ火山というところの近くで、ポンペイというところに古代遺跡があり、現在でも世界有数の観光スポットになっています。
そこに訪れるために設置されたこのフニクリ・フニクラですが、残念ながら当初はあまり人気がありませんでした… 😥 😥 😥
そこで1880年、このケーブルカーの宣伝をするためにこの歌が作られました。つまり、このカンツォーネは世界初のCMソング!
※残念ながら、このケーブルカーは1944年に起きたヴェスヴィオ火山の噴火のため廃止され、現在は運行していません。
これもやっぱりナポリ方言で歌うので聞いただけでは意味はわからなかったんですが、歌詞を見てみてびっくり。
「ヤンモ、ヤンモ…」と聞こえるサビの部分、オリジナルとイタリア語はこうなっていました。
(ナポリ方言)
Jamme, jamme ‘ncoppa, jamme jà,
Jamme, jamme ‘ncoppa, jamme jà,
funiculì, funiculà!
funiculì, funiculà!
(イタリア語)
Andiamo su, andiamo andiamo,
Andiamo su, andiamo andiamo, funiculi, funiculà!
funiculì, funiculà!
(日本語訳)
上に行こう、行こう行こう、
上に行こう、行こう行こう、
フニクリフニクラ!
フニクリフニクラ!
全然違う!(;・∀・)
ちなみにオリジナルの歌詞では、歌い手がついでに想い人の女性にプロポーズしています。( *´艸`)
サンタ・ルチア/Santa Lucia
このカンツォーネはナポリ湾に面した港のサンタ・ルチアの美しさを讃えた歌です。
こんなに美しい海を前にして、船に乗りたくない人なんているのかい!?
みたいな。
確かに夏の夕方に小さな船に乗って、美しい海を見ながら風に吹かれる…なんて情景、想像しただけで気持ちがいいですね!
そこにこんな素敵なメロディーが流れてきたらうっとりしちゃう♡(*´ω`*)
ちなみにサンタ・ルチアというのはカトリックの聖女ルチアの名前から来ています。
シチリア島のシラクサ出身で、ナポリの船乗りの守護聖人とされていますが、同時に北ヨーロッパのノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどの国でも信仰されている聖女です。
これらの国では聖ルチアの日(12月13日)に少女たちが頭にロウソクの冠をかぶって、この歌を歌いながら行進する行事が行われるそうです。この場合の歌詞は、オリジナルのものとは少し違って聖ルチアを讃える内容が加えられているとか。
この日は旧暦の冬至。聖女ルチアの名、Luciaは「明るい」とか「光り輝く」を意味する語源から来ています。一年で最も暗い(夜が長い)日かつ、彼女が殉教した日ですから、未来の光を願う人々の気持ちが込められた歌ですね。
この動画で歌っているアンドレア・ボチェッリという歌手はトスカーナ出身の歌手。
(上のフニクリ・フニクラの動画も彼が歌っています)
小さい頃にサッカーボールが頭に直撃したことで先天性の緑内障が悪化し完全失明してしまうという不運にあってしまった人ですが、それをはねのけて歌手として成功しました。
その深みのある美声は惚れ惚れしてしまいますね♪
帰れソレントへ/TORNA A SURRIENTO
カンツォーネと言えば。という有名な曲のひとつですね!
美しいソレントの風景を歌い上げ、自分のもとを去って行こうとする恋人を引き留めようとする歌詞です。
メロディとピッタリあった切なさ…。(ノД`)・゜・。
ソレントは、ナポリからさらに南、風光明媚な海岸沿いの風景が有名なアマルフィの近くの街です。
比較的最近の名曲~20世紀半ば以降のイタリアン・ポップス
逢引き/l’appuntamento
このカンツォーネは、オルネラッラ・ヴァノーニというイタリア人女性歌手が歌う曲。
私が大好きな番組日テレ「小さな村の物語 イタリア」のテーマ曲です。
日本語タイトルは「逢引き」ですが、原語の意味は「約束」。
歌詞の内容は、恋しい人との約束が守られず待ちくたびれる女性の切ない気持ちが歌われています。
しっとりしたメロディが耳に残って、なんだか懐かしい気持ちを呼び起こすような、頭を空っぽにして聞きたい一曲。日常に癒しがほしいときにピッタリです。
ボラーレ/Nel blu dipinto di blu (Volare)
同年のサンレモ音楽祭でドメニコが歌って入賞し、一躍有名になりました。
イタリアだけでなく、世界中のたくさんのアーティストにもカバーされています。
きっと聞いてみると、「あ~あの曲!!」ってなると思います♪
ビールのCMに流れたり、昔、某芸人さんがネタのときに使っていたり…
このカンツォーネの作者のドメニコ・モドゥンニョ(Domenico Modugno)は20世紀のイタリアで国民的スターだった歌手で、俳優、映画監督、政治家としても活躍した人です。
歌詞の内容は、どこまでも青い空を高く、高く飛んで心地よい音楽が流れている夢を見た…という感じのものですが、確かにこの曲を聴いていると明るく心が飛んでいきそうになる気がします!
サビの「Volare, oh oh, Cantare, oh oh oh oh…」という部分は「飛ぼう、歌おう…」という意味。
この人の出身地であるプーリア州のポリニャーノ・ア・マーレという街は、本当に青く澄んだ美しい海に面したところで、確かにこの空と海の景色を知っていればあの素晴らしい歌詞とメロディが浮かぶのもうなずけます。
2013年にはバンディエラ・ブルーというヨーロッパ周辺の美しい海水浴場49選に選ばれました。
故郷には彼のブロンズ像が建てられています。
24000回のキス / 24000 baci
このカンツォーネ、「24000回のキス」は1960年代のポップス。
ディスコチックなリズムと勢いで一気に歌い切ります。
1961年のサンレモ音楽祭で入賞。
君が好きだ、僕を愛して!毎秒君にキスし続けるから、素晴らしい一日があっという間に時間が過ぎるよ!イエエエエエエーーーーー
と熱烈に歌いアピールするんですが、毎秒キスし続けたら6~7時間で24000回到達するよ!?( ゚Д゚)
じゃあ、1日かけて24000回にするには…約4秒ごとに1回。これも中途半端…。笑 でもちゃんと計算したら86,400回ってそれも語呂が良くないし。
まぁいっか!!(*´▽`*)って感じだったんでしょうかね。