フィレンツェNo.1イケメン!?ダヴィデくんのお話。

      2017/02/17

ダヴィデ像

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フィレンツェNo.1美女?のヴィーナスと並んで、街のシンボルともいえるダヴィデくん

連日、彼を一目見ようと世界中からたくさんの人がその家につめかける、

言わば☆スーパーアイドル☆です。

今日は、そんなダヴィデくんの秘密に迫ってみたいと思います。



ダヴィデくんが・・・1人、2人、3人?

フィレンツェには3人のダヴィデくんがいるのをご存知ですか?

いや、正確にはもっとたくさんダヴィデと名の付く人(とか作品)はいますが、

この見覚えのあるダヴィデくん、大きさも形もそっくりなのが3体あるんです。

では、オリジナルは誰でしょう?

  1. 現・市役所でもあるヴェッキオ宮殿前のシニョーリア広場にいるダヴィデくん
  2. 19世紀に作られたアカデミア美術館にいるダヴィデくん
  3. 作者の名を冠するミケランジェロ広場にいるダヴィデくん

それではダヴィデくんの生い立ちから追ってみましょう!

ダヴィデくん誕生物語

大きな大きな大理石

ダヴィデくんは実物を見るとその大きさと迫力にとても驚かされるのですが、

身長は4m超です(台座部分も入れると5mを超えます)。

ちなみに重さは約5t

この巨体を掘り出すためには、必要とされる大理石はさらにそれよりも大きいものです。

この大理石は、大理石の産地として有名なトスカーナの海沿いにある、

カッラーラという町から運ばれてきました。

 

ダヴィデくんの生みの親は、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロと並ぶ

ルネサンスの三大巨匠のひとり、ミケランジェロ・ブオナッロティ

ミケランジェロ・ブォナロッティ

ミケランジェロ・ブォナッロティはこんな人

でも実は、この大理石はミケランジェロが選んだものではありませんでした。

1400年代の後半、アゴスティーノ・ディ・ドゥッチョという芸術家が

この大きな大理石を選び作業に入ったのですが、

そのあまりの扱いにくさに放り出してしまいました。

続いて約10年後、今度はアントニオ・ロッセリーノという芸術家が挑みますが

やはり無理だー!(´・ω・`)と断念。

 

ちょうどこの頃、フィレンツェの南東90kmほどに位置するカプレーゼという小さな村で

巨匠ミケランジェロが生まれました。

時を経て1501年、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に大きな影響力を持っていた羊毛業組合とそこが握っていた大聖堂造営局(ドゥオモとその関連施設の工事や美術品の注文運営をする機関)が、ミケランジェロにこの大理石から彫刻を彫り出すよう依頼します。

 

この時、ミケランジェロは26歳

若きミケランジェロの闘争心はメラメラと燃え、この依頼を引き受けます。

巨匠ミケランジェロ
ほんとは人が手をつけた大理石を使うのって趣味じゃないけど。これはデカい仕事だ!!

 

事実、ミケランジェロが使いかけの大理石を彫ったのは

後にも先にもこの作品だけだったといいます。

 

ダヴィデくん、本当はここに置かれるはずだった

ダヴィデくんを間近で見ると、実はバランスが悪いことに気づきます。

特に、体の割に大きすぎる手と頭

旅好き女子ナナミちゃん
ミケランジェロって天才だって聞いたけど、サイズ間違えちゃったのかな…? 
イタリア人ガイド マーク先輩
Nooooooo!!!我らがMikeは筋肉一つ間違えたことはない!!天才Mikeはもともと設置される予定だった場所も計算に入れて作品を彫りあげたんだよ!!OK?
旅好き女子ナナミちゃん
と、いいますと?
ダヴィデくんは実はここに置かれる予定でした!!

 

\じゃじゃーん/

ダヴィデくんはドゥオモの上に行くはずだったなんとドゥオモの一部、クーポラのふもとです。

当初の予定では、ダヴィデくんを含めた12体の彫刻を作り、設置するはずだったのです。

2010年にこのプロジェクトを再現する試みが行われました(使用されたのはレプリカ)。

なるほど、ここに置くのなら人々が見るのは、はるか下からになりますから、

手や頭を正しいサイズで作ってしまうと逆に小さく見えてバランスが悪くなってしまうかも。

さすが巨匠ミケランジェロ、そんなことまで計算に入れて仕上げたとは…( ゚Д゚)

ダヴィデくんの受難・・・

そしてミケランジェロが彫り上げたダヴィデくん、

あまりの出来栄えの素晴らしさに感動した注文主たちは、

ドゥオモの上じゃよく見えなくてもったいない!

とこの作品をどこに置こうか検討し始めます。

巨匠ミケランジェロ
あの上に置かんのかーい!!サイズおかしなるやーん!!

という作者のツッコミは置いとかれ、

共和国のシンボルとして政治の中心地・ヴェッキオ宮殿前に設置されることが決まりました。

というわけで、ミケランジェロが制作していた大聖堂造営局の作業場からヴェッキオ宮殿前へ。

なんせ500年前のことなんで、じゃ、トラックで運びまーすってわけにもいかないので、

人手を使って数日かけて、ようやく目的地へ運ばれました。こんな感じ。

でも設置場所は屋外だったもので、色々な被害にあいます。

記録に残っているものでは1527年4月26日、

メディチ家が一時的にフィレンツェから追放されていたときのこと。

共和国制だったフィレンツェで市民の暴動が起こり、これに対抗するためヴェッキオ宮殿に

こもった共和国側が窓から応戦するために投げた石か家具がダヴィデくんの左腕を直撃

それは3つに砕け(たぶんそれよりもっと小さい塊にも)、地面に落ちてしまいました。

この時ジョルジョ・ヴァザーリとその友人がこっそりかけらを拾い集め、保管していました。

イタリア人ガイド マーク先輩
グッジョブ、ヴァザーリ!!
その後、メディチ家のコジモ1世復活後、ヴァザーリたちにより修復されました。

ダヴィデくんのお引越し

そんなわけで長らく市のシンボルとして市庁舎であるヴェッキオ宮殿前に

\どどん/と構えていたダヴィデくんですが、19世紀後半にいよいよお引越しが決まります。

1872年、ダヴィデくんのためのお家、アカデミア美術館

トリブーナ(ある目的のために限定された建築空間)が建設されることが決まりました!

設計を担当したのは、フィレンツェのドゥオモの現ファサードを設計した建築家、

エミリオ・デ・ファブリス

彼は、ダヴィデくんが一番美しく見えるよう、スペースや採光を計算し、トリブーナを設計。

ダヴィデくんのためのお家(とお部屋)が完成しました。

手前には、同じくミケランジェロの手による未完成の5体の彫刻が飾られ、

巨匠の世界観を味わいつつ堂々たる完成品のダヴィデくんに至る設計になっています。

プリジオーネ

il prigione della Galleria degli Accademia

でも実は、ダヴィデくんがヴェッキオ宮殿前から運ばれたのは1873年

トリブーナが完成してダヴィデくんが一般にお披露目されたのは1882年のこと。

旅好き女子ナナミちゃん
あれ、ダヴィデくんの到着よりも遅かったの?
イタリア人ガイド マーク先輩
そう、家が完成してもないのにダヴィデくんを連れてきてしまったんだ!!

 

旅好き女子ナナミちゃん
なんでかな。せっかちなのかな…

 

そしてフィレンツェのシンボルへ

そんなわけで、冒頭のクイズ、オリジナルのダヴィデくんはどれ?の正解は2番でした!!

ダヴィデくん
わかったかな~?

 

 

フィレンツェのシンボルの宝物が大切に保管されているアカデミア美術館には、

連日多くの人が詰めかけています。

特にハイシーズンは予約なしは1時間待ちなどの長蛇の列になりますので、

なるべく予約して見に行きましょう!

また時間に余裕があるときは、3体のダヴィデくんをそれぞれ見ていただくと、

やはりオリジナルの圧倒的なパワーを実感できると思います。

ダヴィデくんはどこから見ればいい?

さて、オリジナルのダヴィデくんはその設置方法がとても工夫されていて、

360度どの方向からでも鑑賞できるようになっています。

それぞれの角度からじっくり見ると、色々な気づきがあります。

まずは正面から

ダヴィデくん正面

ダヴィデくん正面

ダヴィデくんは裸体なので、その筋肉の表現の素晴らしさ

ミケランジェロはコネを使って病院で遺体解剖をするときに特別に現場に入れてもらい、

人間の筋肉の付き方を徹底的に研究したのです。

そのため彼の作品で筋肉の付き方が間違って表現されているものはなく、

彫刻作品で、作者はミケランジェロか?とされているものでも、

これは筋肉の表現が間違っているから彼のものではない」とする研究者がいるほど。

 

そのエピソードはこちら>>ミケランジェロのもう一つの「ピエタ」、未完成で放置されたワケ。

 

次に、左側面から

ダヴィデくん左側から

ダヴィデくん左側から

ダヴィデくんの左側面からは、その視線の先に注目してください。

ダヴィデくんとはもともと旧約聖書に出て来る人物なのです。

古代イスラエルの国、ベツレヘムにいた羊飼いの青年ダヴィデくん。
あるとき敵のペリシテ人がベツレヘムの街に戦いの一騎打ちを申し込んできました。
その挑戦者はゴリアテという、約3m(!)の巨体と怪力を誇る大男でした。
これに立候補したのがダヴィデくん。普通の青年なので多分身長170cmとかぐらいでしょう。
しかも動きにくいからと鎧を脱ぎ捨て、石つぶての入った袋と投石器(遠心力を使って石を投げる道具)だけという心配になるくらいの軽装備で立ち向かいます!
誰もがゴリアテの勝利を確信していたこの勝負、みごとゴリアテを倒し街を救ったのでした。

ミケランジェロの作品でも、ダヴィデくんは1~1.5m上にあるであろうゴリアテの顔を強い視線で睨みつけています。

巨人ゴリアテと対戦するダヴィデくん

巨人ゴリアテと対戦するダヴィデくん

 

そして、後ろへ

ダヴィデくんの後ろ姿

ダヴィデくんの後ろ姿

後ろからは、引き締まったお尻。も素晴らしいんですが、

気になるのは左肩から右手に向かってうっすらと見えるたすきのようなもの。

これこそがゴリアテを倒した投石器で、布でできています。

これを輪になるように先端を持って真ん中に石を置き、ぶんぶん振り回した後に

一方の端をぱっと離すと…石がすごい勢いで飛んでいきます!

これが見事ゴリアテの頭に命中、そしてダヴィデくんは巨人を倒した英雄となりました。

 

最後に右側面から

ダヴィデくんの右側から

ダヴィデくんの右側から

ここからは、特に右手の大きさが際立っているのがわかります。

その理由は前述の通り、当初の予定では地上よりはるか高く、

ドゥオモの上に設置されるはずだったから。

また、その手に浮き出ている血管もとてもリアルに表現されていて、

ミケランジェロの技術の高さがわかります。

ダヴィデくんの右手

ダヴィデくんの右手
血管がリアル!!

 

彼がすごいのはこの巨大な作品をひとつの大きな大理石の塊から彫り出したということ。

パーツを作ってあとでくっつけたんじゃないんです。

しかも

巨匠ミケランジェロ
大理石の中に人が閉じ込められている。苦しそうだから早く出してやらないと!

という凡人には計り知れない目を持っていて、石に目印の下書きをすることもなく、

ノミをもつとそのままぶわーーーっと彫り出したとのこと。

また、彼の作品には未完成のものが非常に多く、これは

巨匠ミケランジェロ
ふぅ、ここまで彫り出したらもう大丈夫。この人は解放されたからもう息苦しくない

と、納得したから…らしいです。

旅好き女子ナナミちゃん
ミケランジェロ…やっぱ天才は違うねぇ!

 

ダヴィデくん
今度お友達のヴィーナスちゃん♡を紹介するね~~~

 

おしまい。

 

この記事を書いた人
フィレンツェ在住の公認観光ガイド、Azuです。
得意ジャンルは美術、街歩き、ワイン。好きな芸術家は、ブロンズィーノ。有名作品もいいけど、隠れ注目ポイントや裏話が大好き!普通のガイドブックじゃ見つからない、”ここだけの話“をお伝えします♪ 詳しいプロフィールはこちら
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