西洋美術史の中に登場する重要な言葉で、「マニエリスム」という様式があります。
なかなか聞きなれない言葉ですが、1500年代のイタリア・フィレンツェの美術を鑑賞する上でとても大切な潮流のひとつ。
とても簡単にですが、どんなものかを見てみましょう!
目次
「マニエリスム」とは
マニエリスムとは??
ガイド学校の先生カテリーナ
旅好きナナミちゃん
ガイド学校の先生カテリーナ
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- 極端な強調(曲がりくねったり、引き伸ばされた人体)
- デッサンや空間の歪曲
- 遠近法を抽象化または極端に誇張
- 明暗の強いコントラスト
- 大胆な構図
ガイド学校の先生カテリーナ
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ブロンズィーノの代表的マニエリスム作品「愛の寓意」
ロンドンのナショナル・ギャラリーにある、ブロンズィーノの「愛の寓意」という作品です。
中心にいるのがヴィーナス、その口元にキスをしているのがキュービッド(=エロスまたはアモレ/ヴィーナスの息子)ですが、キュービッドの体は引き伸ばされ、不自然なバランスになっています。
右側の男の子(”喜び“)も体型としては妙に長く、体をひねった特徴的なポーズをしています。
こんな感じの、一見、ちょっと変… 😕 な印象を受ける特徴を持つマニエリスムという様式、17世紀以降は巨匠ミケランジェロの単なる模倣であり、「創造性を失った芸術」として低評価になりました。
ガイド学校の先生カテリーナ
ちなみにこの作品、解釈するのがとても難しい作品です。
口づけを交わすヴィーナスとキューピッドは、愛し合っているように見えてお互いに相手に見えないように相手のものを盗もうと手をかけています。
ヴィーナスはキューピッドの矢、キューピッドはヴィーナスの髪飾り。
このことは、お互いに「裏切り」を働く可能性があると示しています。
二人の左後ろで頭を抱えている人物は「嫉妬」を表し、二人の向かって右手には「喜び」を表す男の子、でもその足は鎖でつながれています。
その男の子の後ろには女の子、でも体が蛇で足がライオンという奇妙な姿をしています。手も左右逆についていますね。これは「欺瞞」を表していて、ヴィーナスの足元に置いてある仮面もそうです。
右後ろに描かれた老人は「時」の神様、つまり愛の快楽にふけっていると魔法のように時間が過ぎ去ってしまうということを示しています。
旅好きナナミちゃん
美術の世界は奥が深いんだね~
旅好きナナミちゃん
ということで、「マニエリスム」、ごくごく簡単な説明ですが、特徴はわかりましたか??
- 極端な強調(曲がりくねったり、引き伸ばされた人体)
- デッサンや空間の歪曲
- 遠近法を抽象化または極端に誇張
- 明暗の強いコントラスト
- 大胆な構図
こんな感じの特徴をあわせ持つ絵画に出会ったら、制作年代を確認してみてください!またひとつ、絵画の鑑賞の楽しみが増えますよ♪