イタリアはご存知ファッション大国で、Ferragamo、BULGARI、PRADA、MIU MIU、FENDI、Versace、…などなど、イタリア生まれの有名ブランドが数多く存在しています。
その中でも、高級ブランドの元祖ともいえるのがフィレンツェ生まれのGUCCI。1921年に創業者GUCCIO GUCCIがフィレンツェに革の鞄を売る店を開いたのが始まりです。グッチオが亡くなったあとは息子たちに事業が継承され、孫の代でグッチ・ファミリーの手からは経営が離れましたが、100年たっても変わらぬ存在感を放っています。
さて、現在もフィレンツェに本店を置くGUCCI(※)、フィレンツェにはその世界観をじっくり感じることのできるミュージアムもあります。観光客でにぎわう街から一転、隅から隅までラグジュアリーかつファッションの歴史を感じることのできる特別な空間になっています。
※一時期、ミラノに本社が置かれていたことがあります。
目次
GUCCI Garden(グッチ・ガーデン)とは
GUCCI GARDENは、ミュージアム&ブティック&レストランで構成される、GUCCIの複合施設。フィレンツェの中心地、ヴェッキオ宮殿のあるシニョーリア広場に面する歴史ある建物に入っています。この建物はかつて商業裁判所でした。
1Fにはグッチ・ガーデンのオリジナル商品を売るブティックと、ミシュラン一つ星レストランのグッチ・オステリアが入っています。
フィレンツェ旅行を彩る素敵なレストラン♪雰囲気のいいお店&星付きリストランテ厳選10選!ミュージアムは2Fと3Fにあります。チケット売り場は、建物1Fの中央の入り口突き当りで、チケット購入後、手前の階段から上がります。
入場前に-タイムライン
主な展示は2Fから始まるのですが、階段にはグッチ創業からの歴史を簡単に示したタイムラインがあります。
1922年、創業当時の広告なんかは今でも十分通用するような洗練されたデザインですね。文字だけで必要な情報、名前と住所と「英国旅行鞄専門」とい文言しかほぼ書かれていませんが、とても素敵です。
タイムラインの一番最後は、Sabato De Sarno。2023年1月、GUCCIに20年勤め、うち7年をクリエイティブ・ディレクターとして働いてきたアレッサンドロ・ミケーレの退任が発表され、その後任に選ばれた人です。
PRADA、Dolce & Gabbana、Valentinoなどのブランドで経験を積んだナポリ出身の39歳(クリエイティブ・ディレクター就任発表当時)。2023年9月のミラノ・ファッションウィークのウィメンズがGUCCIでの初作品発表になります。
実はGUCCIがメゾン出身以外の人物をクリエイティブ・ディレクターに抜擢するのは初めてのことだそうで、また彼本人の名もまだそれほど知られていなかったため、一気に注目を集めました。GUCCIの世界観はどんな風に展開するのか、楽しみです。
そしてさらに最近、彼をクリエイティブ・ディレクターに抜擢したGUCCIのCEO、Marco Bizzarriが退任を発表しました。サーバト・デ・サルノのデビューとなるミラノ・ファッションウィークを見届け、GUCCIを去るようです。
変化の多い2023年となったGUCCI。ここまでの集大成の意味でこのGUCCI GARDEN内のミュージアム、GUCCI VISIONSが完成されたのでしょうか…この展示が開始されたのは2023年6月15日のことです。
グッチ・ガーデン<2F>GUCCI VISIONS-スターのドレス、旅行、バッグ
STAR-スターのドレス
こちらの部屋では、たくさんの鏡が並んだスペースに、現代のスターたちのためにデザインされたドレスが展示されています。
ニューヨークのファッションの祭典Met Galaや、ヴェネツィア国際映画祭に登場したスターたちが実際に着用した豪華絢爛なドレスが目白押し!鏡を多用して実際以上に広がって見える部屋に、これでもかというくらいのキラキラしたドレスが並び、角を曲がるごとに新しい世界が広がります。
一番の圧巻は、こちら!2018年メットガラでラナ・デル・レイが着用したもので、『悲しみの聖母』からインスピレーションを得たデザインだそうです。
胸元に、モデルとなったラナ・デル・レイのイニシャル「LDR」、マリアの7つの悲しみを表す剣が刺さったデザインになっているそう。
(解説の参照:Vogue Japan)
キャディ・シルクという素材に金糸の刺繡が手作業で施された、とってもラグジュアリーなドレス!細部までとても繊細なデザインで仕上げられていて、写真では伝わりませんがその艶感は素晴らしいものでした。
TRAVEL-歴代の旅行鞄
続いては、GUCCIの元祖商品ともいえる旅行鞄シリーズです。創業者グッチオ・グッチがロンドンのホテル・サヴォイで働いていた若い頃、世界中のセレブが持つ素晴らしい革製品に触れ、そこから「いつの日か自分の名前を冠した革製品を…」と夢を描いたところから、今日のGUCCIにつながっているので、いわばGUCCIというブランドのアイデンティティはここにあるわけですね。
部屋の雰囲気が近未来×ロックコンサート的なイメージにしてあるので、色と光の演出効果が忙しい部屋でした…😅
古き良き時代の「一大イベント!」な旅行を彷彿とさせる、グッズを効率的に詰め込めそうな鞄から現代版まで勢ぞろい!
こちらは突然のギターケース。こんなのもデザインしてたんですね。
バンドといえば、当時のGUCCIのクリエイティブ・ディレクターのAlessandro Micheleは、後に人気バンドマネスキンと対談したようです。彼はマネスキンの衣装を手掛けていたんですね。
クラシックなコレクションはなんだかちょっと安心しますね。これはちょっと小ぶりで、出張用みたいな感じ?
そして怒涛の旅行鞄セット!!全イノシシの革張りで、すごく豪華です。トランク2つと帽子入れ、シャツ入れ、ビューティーケースのセット。
ビューティーケース、この規模だったら家中の化粧品が入るのでは…😂(セレブだとドレッサーの一部、ぐらいなんでしょうか…)
こちらもビューティーケース、70年代のもの。これぐらいのサイズ感だとちょうどいいかも。
レトロクラシックなダイヤモンド柄がおしゃれな旅行鞄。GGマークのロゴが生み出される前にすでにグッチの定番として取り入れられていたデザインです。
こちらのボタニカルなイメージのモチーフは、ウフィツィ美術館やヴェッキオ宮殿など、1500年代に装飾された建物に見られる模様と近いイメージですね。
1950年代、始めは布に印刷という手法で作られていたのが、後に手描きで制作されるようになったそうです。
そして最後は2022年の旅行鞄コレクション。GGロゴとウェブラインで、GUCCIの王道デザイン復興、という感じですね。左下の丸いカバンは帽子用でしょうか?これは周りに鋲みたいなものがついていて、モチーフは太鼓っぽいなと感じました。使いやすさはともかく、見た目はオシャレ!
ICONS-3つのバッグシリーズ
続いての部屋は、GUCCIの3つのバッグシリーズ(Bamboo, Horsebit, Jackie)。入った瞬間のインパクトがすごい、展示方法はアイデア賞です!
上下鏡張りのフロアになっているので、お互いにお互いが映りこんで…というのが繰り返されて、無限にフロアが上下に広がっているように感じます。ちょっとSFっぽい、近未来な感じ。本当の高さはバッグが8段分ですが、数十メートルの高層ビルで、ガラス張りのエレベーターに乗って移動しているかのような錯覚すら、覚えます。
ガラス張りのショーケースの中には、それはもう数えきれないぐらいの様々なGUCCIのバッグが飾られています。
クラシックなスタイルから攻めたスタイルまで!GUCCIのコレクションの中に、こんなユニークなデザインのものがあったんですね。
GUCCIのシンボル的存在はそれぞれ、バンブーは1947年、ホースビットは1955年、ジャッキーは1961年の発表から長く愛される定番商品で、メゾンのアイコンでもあります。時が流れてもその時代ごとのクリエイティブ・ディレクターが各々の感性で再解釈し、新たなスタイルを提案してきました。
買うことはできないけど、「これが好み!」「これほしーい!」とショッピング気分を味わうのも楽しそう😍
BAMBOO-歴代のバンブーバッグ
2Fの奥の部屋には、60年代から2017年までのバンブーコレクションの一部が展示されています。
バンブーコレクションは1947年頃に発案された歴史あるデザイン。実は発案者は、当時GUCCIに勤めていた職人の一人ですが、正確に誰がデザインしたのかは残っていません。当時のGUCCIでは働いていた職人のデザインが認められ、商品化されるというパターンがいくつかあったようです。
この竹の取っ手が生まれたのには当時の時代背景が深く関わっています。1947年、第二次世界大戦が終わって間もない頃。様々な商品や素材に関して、禁輸措置が取られていました。革素材も手に入らなかった時代が続き、代替素材として考案されたのが竹だったのです。
自然で実用的で強く、そして軽い竹は完璧な解決策となり、GUCCIを代表するシンボルとなりました。
細く硬い竹の素材を、職人たちが手で熱にかざして少しずつ角度をつけていき、持つ手にしっかり収まるように時間をかけて仕上げられました。一つ一つ、手仕事ですから形が全部違います。
ちなみに現代でも職人さんたちが手仕事でこの竹の取っ手を制作しているそうです。というわけで、このシリーズのバッグはどれも必ず、世界でただ一つの作品ということなんですね。他のシリーズよりも価格設定が高めなのも納得です。
グッチ・ガーデン<3F>GUCCI VISIONS-ファッション
FASHION-ファッション今昔
フィレンツェのオルトラルノ地区(アルノ川以南)には、1953年からGUCCIが所有する1400年代の宮殿があります。そこには、これまでのGUCCIのコレクションの”アーカイブ”があり、歴代のクリエイティブ・ディレクターはそれらからインスピレーションを得て、新たな自分の作品に取り入れてきました。
この部屋では、かつて発表されたコレクションと、現代風に再解釈されたコレクションの対比が同時に楽しめる趣向になっています。
2000年前後のクリエイティブ・ディレクターだったTom Ford VS 先代のAlessandro Michele。再解釈なので一見したところはよく似ていますが、わずかなラインや着こなしが違うんでしょうかね。
60年代のデザインを21世紀風に再デザインしたものは、同じモノグラムを使っていてもどことなく活き活きとした表現になっています。
こちらもトムVSアレッサンドロ。モチーフが似ていても、好みと言うか個性が出ています。
こちらの右側のデザイン担当、Frida Gianniniはトム・フォードとアレッサンドロ・ミケーレの間の代にクリエイティブ・ディレクターを担当していた人です。彼女はトム・フォードが去った後のGUCCIで最初はアクセサリー類担当として、後にウェアも担当となりました。当初はあまりファッション批評家の評価は高くなかったそうです。
この右側の「ガーデン」デザインは、まさにこのミュージアムの入っているGUCCI GARDENのテーマともいえる柄ですね。百花繚乱の中、豪華な蝶や様々な虫が活き活きと飛び回っています。
さらによーく見ると、左のアレッサンドロの作品はヘビもいます。
どちらも美しい花々の中に、一見しただけでは気づきにくいのに注視すると見えてくる虫が描き込まれていて、本当の自然の中にいるようですね。
そしてバッグや靴のコレクションも。左のトム・フォードデザインのバッグはクラシックな雰囲気を漂わせつつ、斬新ですね。とてもインパクトがあります。
右のファー付きのスリッパは、数年前によく見かけました!
FLORA-花の庭
3Fの一番奥には、等身大より大きな花が!虫の目線になったような不思議な気分です。
60年代、37色の明るい色と多種多様な花や植物、昆虫などの自然をモチーフにしたデザインが絹のスカーフに印刷され、それはGUCCIにとって、とても大事なインスピレーションの源泉となりました。
今日でも、ポピーやユリ、アイリス、アネモネ、チューリップなどの花々、蝶々やトンボ、ハチ、バッタなどの虫たち、そういったものはGUCCIが愛する自然のシンボルであり、常に進化し続けるブランドの創造性そのものでもあるのです。
GUCCI GARDENに行ってみよう
グッチ美術館基本情報
2F以上はミュージアムですが、1FにはGUCCI GARDENブティックが入っています(本店ではありません)。ここでは他のお店には置いていないシリーズ、特にボタニカルなモチーフを使った商品がたくさん。
GUCCIの世界観を満喫したあとで商品を見てみると、コンセプトと一緒にストーリーが感じられるかも。
営業時間やチケット情報などはこちら。
グッチ・ミュージアム(GUCCI VISIONS)バーチャルツアー
こちらのサイトでは、ミュージアム内のバーチャルツアーが楽しめます。オーディオガイド付き!
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