フィレンツェで最も有名な美術作品のひとつ、ミケランジェロ作『ダヴィデ』像。
実は『ダヴィデ』をモチーフにした作品はこの他にもたくさんあります。
ガイド学校の先生カテリーナ
そもそも、ダヴィデというのは旧約聖書に登場する、攻めてきた強靭な敵ゴリアテから味方の町を守り英雄となった少年の名なのです。
ということで、今回は『ダヴィデとゴリアテ』のエピソードをご紹介します。
目次
『ダヴィデとゴリアテ』のエピソード
『ダヴィデとゴリアテ』登場人物
『ダヴィデとゴリアテ』は旧約聖書「サムエル記・上 第17章」に出てくるお話です。
ダヴィデ
その容姿はとても美しく、「血色が良く、目は美しく、姿も立派であった」とあります。
祭司サムエルを通じて主(=神)が「イスラエルの王となるべき者」として見い出した人物です。
ゴリアテ
背丈は6アンマ半(=約292cm)の大男!頭に青銅の兜をかぶり、身には青銅5,000シュケル(=約57kg)の重さのあるうろことじの鎧を着ていて、足には青銅のすね当てを付け、肩に青銅の投げ槍を背負っていました。その槍の絵は機織りの巻棒のように太く、穂先は鉄600シュケル(=約6.84kg)もあるとのこと。
ゴリアテの前には盾持ちがいました。
サウル
預言者サムエルに選ばれイスラエルの指導者として王の座についており、彼の率いる軍隊がペリシテ人の軍隊と対峙していました。
ダヴィデの家族
父:エッサイ
ダヴィデの父はエッサイといい、村の長老でした。彼には8人の息子があり、その末っ子がダヴィデです。
ダヴィデの兄たち
年長の息子3人(エリアブ、アビナダブ、シャンマ)はサウルに従って戦いに出ていました。
『ダヴィデとゴリアテ』あらすじ
巨人ゴリアテが攻めてきた!
さて、サウルの息子ヨナタンがペリシテ人の守備隊を打ち破ったことから、ペリシテ人の恨みを買い、大きな戦いへと発展します。両軍は谷を挟んで二つの山にそれぞれ陣取りました。
そこで、ペリシテの陣地から登場したのが一人の戦士。
彼こそが巨人ゴリアテです。
青銅の兜に鎧にすね当て、長く重い槍を携えた重装備のゴリアテは言いました。
ゴリアテ
続けて、負けた方が勝った方の奴隷となろうではないかと挑みかけます。
ゴリアテ
しかしサウル率いるイスラエル軍はこの言葉を聞いて恐れおののくばかり。
文学少女トモミちゃん
イスラエル側からは誰も名乗りを上げないまま、日が過ぎていきましたが、ゴリアテは朝な夕なやって来て同じところに立っていました。
少年ダヴィデはお使いに
ところでダヴィデくんの兄3人は、前述のようにサウルに従って戦いの場に来ていました。
ダヴィデくん自身は、サウルのところと父のところを行ったり来たりして、サウルに仕えたり、ベツレヘムの父の羊の世話をしたりしていました。
ある日、父エッサイはダヴィデにいいました。
『陣営の兄さんたちに、この炒り麦とパンを急いで届けなさい。このチーズ10個は千人隊の長に渡しなさい。兄さんたちの安否を確かめ、そのしるしをもらって来なさい』
そこでダヴィデくんは翌朝早く起き、羊の群れを番人に任せ、父に頼まれたものを担いで出かけました。
彼が幕営に着くと、まさに両軍は戦列を敷いている真っ最中。
ダヴィデくんは持参したものを武具の番人に託すと、戦列の方へ走っていき、兄たちの安否を尋ねました。
彼が兄たちと話しているとき、ゴリアテがいつものようにいつものセリフを叫んだのです。
ゴリアテ
そこでダヴィデくんは、周りの兵にあのペリシテ人は一体何者なのか、あれを倒せばどうなるのかと尋ねます。
兵は
と答えます。
この光景を見た長兄エリアブはダヴィデくんに腹を立てていいました。
『何をしにここへ来たのか。荒れ野にいるあの少しばかりの羊を、誰に任せて来たのか。お前の思い上がりと野心はわたしが知っている。お前がやって来たのは、戦いを見るためだろう』
それに対しダヴィデくんは
ダヴィデくん
そして他の兵とまた同じ話を始めました。
名乗りを上げた少年ダヴィデ
ダヴィデくんの言ったことを聞いた他の者が、サウルにこのことを報告したところ、サウルはダヴィデくんを召し寄せました。
ダヴィデくん
サウル
ダヴィデくん
ダヴィデくん
サウル
それでは、主がお前とともにあるように
根負けしたサウルはダヴィデくんの主張を認め、祈りの言葉をもって送り出します。
ダヴィデ、ゴリアテを討伐
サウルは、ダヴィデくんに自分の装束を用意してあげました。
頭に青銅の兜をのせ、身には鎧を付け、剣を帯びさせました。
しかし、ダヴィデくんは
ダヴィデくん
と言ってそれらを脱ぎ去ってしまいます。
結局、彼が身に着けたのは自分の杖と川岸から選んだ滑らかな5つの石を入れた投石袋、それから石投げ紐という見ていて甚だ不安になる軽装備でした。
盾持ちを先に立てたゴリアテは見渡して、向かってきたダヴィデくんを認め…
向かってきたダヴィデくんが血色の良い、姿の美しい少年だったので侮って言いました。
ゴリアテ
ゴリアテ
ダヴィデくんも負けていません。
ダヴィデくん
ダヴィデくん
そしてゴリアテは身構え、ダヴィデくんに近づいてきました。
ダヴィデくんも急いで戦いの場に走り、袋に入れた小石を取り出すと、石投げ紐を使って飛ばしました!
石は見事、ゴリアテの額に命中!!それは食い込み、ゴリアテはうつ伏せに倒れました。
ダヴィデくんは石投げ紐と石一つでこの巨大な敵のペリシテ人を破り、彼を打ち殺したのです。
ダヴィデくんは剣すらも持っていなかったので、ゴリアテに走り寄って上にまたがると、その剣を取り、さやから引き抜いてとどめを刺し、首を切り落としました。
文学少女トモミちゃん
そしてペリシテ軍は、自分たちの勇士が殺されたのを見て、逃げ出しました。
このダヴィデくんのお話は、小さく弱い者が強い者を見事に倒した、というエピソードなので指導者たちに好まれ、これをモチーフにした芸術作品がたくさん注文されたのです。
ダヴィデくんのその後
さて、敵を倒した若き英雄ダヴィデくんはその後、どうなったのでしょうか。
今回のゴリアテ討伐後のダヴィデくん、英雄として一躍人気者に。
王サウルはそんなダヴィデくんの人気をねたんで事あるごとにその命を狙います。
例えば、
- ゴリアテ討伐後、千人隊長の長に任命して常に前線に送り込んだり→ダヴィデくんはその度に勝利を収めて先頭で帰ってきました
- 娘ミカルを嫁にやる代わりにペリシテ人の陽皮100枚を持ち帰れ(=その人数分殺せ)と命じたり→ダヴィデくんは無事、王の要望通り命を果たしミカルを娶りました
ダヴィデくんはそれに対して何度もピンチを脱し、逆にサウルに手をかけるチャンスさえもいくらでもありましたが、ダヴィデくん自身はサウルのことを
ダヴィデくん
といって復讐したり討伐したりすることはありませんでした。
ガイド学校の先生カテリーナ
結局その後、神の寵愛を失っていたサウルはペリシテ人の軍勢の前に敗れ、神の託宣を受けたダヴィデくんはユダのヘブロンという町へ上り、そこで油を注がれてユダの王となります。
そして残っていたサウルの息子、イシュ・ボシェトの死をもってダヴィデくんは全イスラエルの指導者になり、その後40年、王としてエルサレムを統治しました。
ダヴィデくんの子どもの一人はあの有名な知恵のソロモン王、そしてその後ずっと何代も降って生まれるのがヨセフ、このヨセフと結婚するのがイエスの母である聖母マリアという家系図になっているのです。
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