クリスマスといえば、イエスの誕生日とされる12月25日。
イタリアは国教がカトリックなので、もちろんこの日は大切な祝日です。
でも、宗教行事だけでなく、サンタクロースのプレゼントを心待ちにする子どもたちの様子も、各国共通。
そんなクリスマスという日にまつわる豆知識あれこれをご紹介します。
目次
イタリアのクリスマスの飾り
日本でクリスマスの飾りといえば、クリスマスツリー、リース、イルミネーション…などがメインでしょうか。
ここイタリアでは、最もオーソドックスなのは「プレゼーペ(プレゼーピオ)」、それから「クリスマスツリー」。
そして最近は都市部では華やかなイルミネーションも見られるようになってきました。
プレゼーペ(プレゼーピオ)
プレゼーペ(プレゼーピオ)というのは、イエス降誕のシーンを再現した箱庭のようなもの。
クリスマスシーズン前になると、本屋さんや雑貨屋さんなどで部品(人形や馬小屋など)を売っていたりもしますし、多くの家では毎年飾るのでちゃんと大切に保管しています。
日本のお雛様的な感じね!
サイズは大小さまざまですが、中には自分で手作りする子も!
これは私の友人のイタリア人(←29歳男子!)ご自慢の手作りプレゼーペ!
レンガを積んで作られた馬小屋が再現されている様子なんかは、かなりリアルですね。
まぁなんと芸の細かいこと!!(´▽`)
こちらはいつも仲良くしてくれるシニョーラ(ご婦人)宅に飾ってあったもの。
二段式になっていて、ちゃんと下の段にいる農民たちが聖家族を見上げています。
それから街なかにも色々と展示されています。
こちらはサン・ロレンツォ教会の前に飾られていたもの。
ここは毎年、違うデザインの趣向を凝らしたプレゼーペが飾られます!
この年のデザインは、プレゼーペが、城壁に囲まれたフィレンツェの街と、フィレンツェに縁のある偉人の肖像が一緒に飾られている斬新さ。
サン・ロレンツォ聖堂
ドゥオモの前には、ほぼ等身大サイズの大きなものが毎年12月8日から飾られます。
よく見ると、まだ赤ちゃんが生まれていません!
これが12月25日の午前0時になるとちゃんと赤ちゃんイエスの人形も置かれるんです。
ほかにも、街によっては、街の人が聖書の人物などに扮装するリアルプレゼーペのイベントを開催するところもあり、なかなか楽しそうですヾ(≧▽≦)ノ
クリスマスツリー
クリスマスツリーは、プレゼーペと同様、中世から飾る習慣が始まったようです。
イタリアの多くの家庭では12月8日の「無原罪の御宿りの日」から飾り始めます。
12月8日、いよいよ今日からクリスマス!!広場のツリーも点灯します。
例外的に、ミラノでは12月7日の町の守護聖人・聖アンブロージョの祝日に、バーリでは12月6日の同じく守護聖人の聖ニコラウスの祝日から飾り始める風習があるそうです。
クリスマスツリーの由来はどんなものなの?
古くはケルト人の信仰に基づくもので、北ヨーロッパ発祥とされいるんだ!
彼らは冬至の前後に太陽が「失踪」している期間でも、葉を落としたり枯らしたりしない常緑樹を魔法の力を持つと信じ、それらの木を信仰していました。
ノルウェーなど北ヨーロッパでは、一日のうち太陽が出ている時間がわずか5時間程度だったりするんだ!
そしてキリスト教においても、「木」は「生命の木」として重要な意味を持つものだった!
ケルト人の信仰が伝わり、キリスト教の考え方が融合した結果、キリスト教に登場するシンボルを飾るクリスマスツリーとして伝えられるようになりました。
イタリアの有名イルミネーション
イタリア国内も、クリスマス時期の都市部はたくさんのイルミネーションで飾られます。
フィレンツェのイルミネーション
通りごとに色々な飾りつけ。基本的に、ブルーやゴールドなど色使いが抑えられているなのでとても落ち着いています。
毎年、11月半ば頃から点灯します。
グッビオの世界最大のクリスマスツリー
中部ウンブリア州にあるグッビオ(Gubbio)という街には、世界最大のクリスマスツリーが登場します。
これは木に飾るタイプではなく、山の斜面を使って電飾を施し、大きな絵で表現しているもの。
なかなか写真のベストポイントを見つけるのが難しいのですが、ふもとの町を少し下りた辺りなら全貌が見えます。
- ローマ方面から: フォッサート・ディ・ヴィーコ(Fossato di Vico)駅で下車、バス(E052)で約40分
- フィレンツェ方面から:ペルージャ(Perugia)駅で下車、バス(E001)で約75分
神戸ルミナリエの本家はイタリアだった!
1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに始まった神戸ルミナリエ。
趣旨は「復興神戸に明かりを灯そう」というものでした。今ではすっかり、震災の面影もわずかになった神戸の町ですが、このルミナリエの行事は災害の犠牲となった人々の鎮魂の目的もあって毎年続いています。
このルミナリエはイタリア人電飾技術者が当時の神戸の街にもたらしました。もともと、16世紀頃イタリアで始まった光を用いた祭礼・装飾芸術のひとつだったのです。
ルミナリエ発祥とされるのは南イタリア・プーリア州のスコッラーノ(scorrano)という街。
実はここ本場ではクリスマスシーズンではなく、夏場に開催されます。
街の守護聖人である聖女ドメニカを記念するお祭りで、7月の6日~8日がそのお祭り、ルミナリエはその前後も含め7月4日~9日に開催されます。
このお祭りの由来はこんな感じ。
1600年頃のこと、街はペストという恐ろしい病の流行に襲われていました。
それは当時の医療技術では治すことの難しい、かかれば死に至る恐ろしい病。
ある時、一人の老婆の夢に聖女ドメニカが登場し、こういいました。
私はあなたたちの街を守ることを決めました。ペストに罹った者で、治癒することができた家は目印として窓辺に明かりを置いてください
老婆はこれを街の人々に伝え、しばらくして町中のすべての家の窓辺に明かりが灯りました。
つまり、すべての患者が治癒し、ペストは根絶されたのです!
そして街の人々はこの聖女を守護聖人として称えるためのお祭りを始めたのでした。
そして街は「ルミナリエの本家」として有名になったんだ!!
サンタクロースはまさかの逆輸入!?
そういえば、ひとつ気になってるんだけど…サンタ・クローチェ教会ってサンタクロースの教会なの?
サンタ・クローチェ聖堂
いえ、残念ながら違います。
サンタ・クローチェは「Santa Croce=聖なる十字架」の意味です。
ではサンタクロースって誰なんでしょう?
サンタクロースの原型となったのは、聖ニコラウス(San Nicola)という聖人です。
この人が、あるとき、貧しい家庭の少女たちを助けてあげたお話がもとになっています。
昔々、ある村でのこと。
父と三人の娘たちが暮らす家がありました。父親はかつて商人でしたが、財産を失って貧しくなったので、ついにお金のために三人の娘たちが身売りをしなければいけなくなりました。
このことを知った聖ニコラウスは、夜にこっそり窓から金貨を投げ入れ、それは暖炉脇につりさげられていた靴下の中に収まったのです。
そしてそのおかげで、彼女たちは身売りをせずに済んだのでした。
また別バージョンでは、家が貧しかったために持参金が用意できず結婚できずにいた娘たちのために、聖ニコラウスが夜の間に家の中の袋に十分な金貨を投げ入れたというものも。こちらのお話では、これを3人の娘のため、3晩続けて行ったので、娘たちは3人とも無事に結婚できたと語られています。
このような伝承から、「夜中に家の中に入って、靴下に贈り物を置く」というサンタクロース像が出来上がったとされています。
ふぅ~ん、…あれっ、ところでクリスマスとの関係は?
実は
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無関係です!!(; ・`д・´)
えーーーーーーーーーーーっっっっ
なぜクリスマスと聖ニコラウスが結びついたのかというと。
この伝承がオランダ系移民により、アメリカ大陸に伝えられたとき、もとのキリスト教の教えの中にある「東方三博士の贈りもの」のお話と結びつきました。
東方三博士(三賢者とも呼ばれます)とは、イエスの誕生を星の輝きによって知り、1月6日のエピファニア(公現祭)に贈り物を持ってお祝いに駆け付けた人たちだよ!
『贈り物を持って来てくれる人』つながりでその結果、「サン・ニコラウス」=「サンタクロース」は、「クリスマスに暖炉から入って靴下にプレゼントを置いてくれる人」となったという説があります。
…ってことは、まさかの新大陸からの逆輸入!!
その通り!!ちなみに「サンタクロース」という名前の由来は、オランダ語で聖ニコラウスを表す「Sinterklaas」だったとされているんだ!
イタリアのクリスマスはご家族で
イタリア人にとってのクリスマス
そもそも、クリスマスとはカトリックにおいては救世主であるイエスの誕生日という大切な祝日。
聖書がわかると美術が面白い!主人公「イエス・キリスト」の生涯。
現代でこそ、イタリアでも特に若い世代では毎週ミサに行ったりするような熱心なカトリック教徒は減ってはいますが、それでもクリスマスの過ごし方は伝統的に家族や親戚とゆっくり過ごすというのが一般的です。
普段は家を離れて都会で仕事をしている人も、この日は実家に帰って家族そろって迎えます。みんなが集まって食べきれないほどたくさんの食事を作って、一日中食べたり飲んだり寝たり…という状態です。
日本の伝統でいうとお正月みたいな感じなのね!
サンタクロースは来るの??
イタリアでも25日のクリスマス、もちろん子どもたちが心待ちにしているクリスマスプレゼントがやってきます!
実はイタリアは翌26日も「聖ステファノの祝日」で二連休になり、しかも、クリスマス期間は実はこの後1月6日まで続きます!
えっ、1月6日…?2週間ぐらいあるの…!?
そう!!1月6日はEpifania(公現祭)といって、聖書のエピソードに基づくキリスト教(カトリック)の大事な日なんだ!!
聖書で書かれているのはざっくりとこんな感じ。
- イエスが誕生する
- 東方の三博士(占星術師)が夜空を見上げてひときわ輝く星を見つけ、救い主が生まれたことを知る
- 博士たちがお祝いにかけつける
この「東方三博士がお祝いに駆けつけた」というのが公現祭という行事で、イタリアでは、現在は毎年1月6日に固定されていて、伝統衣装をまとった歴史行列が町中を練り歩くイベントがあります。
1月6日のフィレンツェ
博士たちはお祝いの品を持ってイエスのもとを訪れたので、これにちなんで伝統的に1月6日にはイタリアの子供たちはプレゼントをもらうとされています。
この行事は「Befana」と呼ばれ、これはある女性の名前。ほうきに乗った貧しい老婆の姿で描かれることが多いです。
べファーナおばさんは良い子にはお菓子を(悪い子には炭を)持って来てくれるので、イタリアの子供たちは12月25日のクリスマスと1月6日のベファーナ、二回プレゼントがもらえるわけですね!
いいなぁ~(*´▽`*)
ちなみに、ベファーナおばさんは1月6日の去り際にクリスマスの飾りつけを全部持って行ってしまうとされていて、このためクリスマスツリーなどの飾りはこの日を最後におしまい!街中のツリーも一斉にお片付けになります!
イタリア・クリスマスモードの街なかでの過ごし方は?
教会:厳粛なムードのミサ
イタリアでは現在は多くの教会が観光地として、観光客に開かれていますが、やはり国教がカトリックの国ですのでクリスマスは一年のうちでも特別な日。イエスが生まれたことを祝う大切な祝日ですので、ドゥオモなど主要な教会でも終日ミサとなります。
ミサの間は、決まった慣習に基づいて色々な行事が執り行われますので、観光目的での入場は避けましょう。
もちろん、ミサに参加するための入場は可能であることが多いですので、その場合は周囲の雰囲気を邪魔しないよう、ルールに従って厳かに参加してくださいね!
観光地:クローズが多いので注意!!
1年で最も多くの施設がクローズになるのが、クリスマス。
屋内の観光スポット、美術館などは12月25日は休みのことが多いです。
ウフィツィ美術館やアカデミア美術館はじめ、休館日なく一年中開いているヴェッキオ宮殿でさえも、年にたった一日だけ休むのがこの日ですべてクローズ…本当に、本当に、何も開いていません!!
この日に観光できる場所はミケランジェロ広場など屋外のもののみ、または外観のみ。一年で最も観光目的の旅行でおすすめできない日です。
ちなみにドイツなどではクリスマス・マーケットが有名ですが、イタリア(フィレンツェ)のクリスマス・マーケットはなぜかクリスマス前に終了します…
フィレンツェのクリスマス・マーケット2023!街はすっかり準備万端。
また、翌26日も聖ステファノの祝日でお休みのところも多いです。カレンダーの並びによっては、何日もお休みが続くパターンもありますので、この時期にイタリア旅行を計画する場合は、十分に下調べをしましょうね!
イタリアの祝日一覧&カレンダー2024年版!観光のプランニングはこれでOK!レストラン:特別メニューに
中華や和食といった、カトリックでない国の料理を出すレストランは別として、クリスマス限定特別メニューになるレストランも多いです。
この日はコースのみで要予約、というところも多いので、この時期お目当てのレストランがある場合は、事前に確認したほうがベターです。
最近は、中心地のレストランでは通常営業のところもありますが、逆にお店を休むところもありますので、ご注意くださいね!
それでは最後に、クリスマスソングの中で個人的イチオシの曲をどうぞ!