イタリアは全国津々浦々、ご当地料理のバリエーションが広くて面白い国なんです。
有名なのは例えばミラノの仔牛のカツレツ、フィレンツェのビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ、ローマのカルボナーラやサルティン・ボッカ、ナポリのピッツァ…などなど。
日本のガイドブックに載らないような小さな街でも、それぞれに伝統料理があって興味深いところ。
今回は、トスカーナ州の海沿いのお料理、『カッチュッコ(伊:Cacciucco)』をご紹介!レシピ、美味しいレストラン情報もありますよ♪
目次
『カッチュッコ』とは
『カッチュッコ』とは、リヴォルノやヴィアレッジョといったトスカーナ地方の海沿いの伝統料理で、タコ・イカ・シャコ・カサゴ・アサリ・ムール貝などの海の幸をたっぷり使った魚介類スープの一種です。
料理男子のポールくん
そう、見ての通り、ほとんどが具、というか、具である魚介類の下の方にほんのわずかのスープ(むしろソースや煮汁レベル)が…
これがイタリアで「スープ(伊:zuppa)」を頼むとよく起こる悲劇。
それはさておき、もとは漁師たちが食べていた貧しいお料理でした。その日にとれた、決して高くは売れない種類の魚介類を使って自分たちのための食事として作っていたものです。
しかし次第にカッチュッコという名前の意味するところが「混ぜること、混ざったもの」の意味を帯びるようになり、現在では魚介類だけでなくお肉やジビエ、豆を使ったレシピも存在するようです。
ちなみに『カチュッコ(caciucco)』とも呼ばれます。理由はCが五つもあると発音しにくいから。笑
『カッチュッコ』の発祥
このお料理の発祥は諸説あって、リヴォルノには次のようなお話が伝わっています。
ある漁師が小舟で漁に行きましたが、突然の嵐でおぼれ、妻と子どもたちを残して死んでしまいました。お腹を空かせた子どもたちは、港に行って他の漁師たちに魚を分けてくれるよう頼みます。漁師たちは、それぞれ自分たちにできる範囲でおすそ分けをしてくれました。ある者はタコを、ある者はシャコを、そしてある者はイカを。子どもたちはそれらを家に持って帰り、母がスープにしてパン切れを並べたスープ鉢に入れました。その柔らかなスープの香りに、近所の人々がこぞってどうやってできたのか知りたがりました。
-出典:”Cacciucco alla livornese” Giallo Zafferano
また別の説では、
港町リヴォルノは古くからたくさんの土地から来た人々と彼らが作り出すコミュニティで成り立っていました。ヘブライ人、アルメニア人、ギリシア人、レバノン人、ドイツ人、ポルトガル人、フランス人、オランダ人、イギリス人などなど。それらの多様な文化、宗教、伝統、食習慣が融合された結果、生まれた料理のひとつがカッチュッコでした。
-出典:Wikipedia「Cacciucco」
とされています。
そしてもうひとつ。リヴォルノの歴史学者が主張する説では、その地理・歴史条件に注目します。
フィレンツェ共和国の統治下では、リヴォルノでの魚のフライ料理を禁止されていた(港町なので、オイルは優先的に灯台に使われた)。そのため、カッチュッコはオイルが少なくて済む調理方法として考案されたもの
-出典:Wikipedia「Cacciucco」
どの説も、うーんありそう、って気がしますね。
『カッチュッコ』の名前の由来
これも色んな説があります。
現在、一番広く受け入れられているのはトルコ語由来の「küçük」、意味は小さいサイズ、というようなものだそう。
これはお料理に含まれる具が小さなサイズのものの集まりだから、ということのようです。
また、スペイン語由来の「cachuco」が語源だと主張する学者もいます。
この言葉そのものは、ヨーロッパキダイという種類の魚(またはその一種)を表すものですが、一般的に魚を指すときに使われる言葉でもあるそうです。
発音は、確かに似てそうですね!?
それから、意外にもヴェトナム料理の「canh chua cá」だとする説も。
これも魚のスープのお料理で、野菜が多めだったり使われている素材は若干違いますが、よく似ています。時代背景的に、東洋への航海から持帰られてアレンジされたのではないかと考えられているようです。
『カッチュッコ』を作ってみよう!
カッチュッコのレシピ
材料(4人前)
- 魚介数種(アンコウ、カサゴ、ヤリイカ、タコ、ムール貝、アサリなど)
大きい魚は1匹ずつ、タコや貝類は各300gぐらい - パセリ 5本(みじん切り)
- セロリ 1本
- 玉ねぎ 1個
- トマト缶 200g
- にんにく 1かけ
- ペペロンチーノ 1かけ
- エキストラバージンオリーブオイル 50ml
- 赤ワイン 100ml
- 塩コショウ 適量
- バゲットの薄切り 適量※完成後、お皿に添える
作り方
- にんにく、ペペロンチーノ、薄切りにした玉ねぎをエキストラバージンオリーブオイルに入れ、軽く炒める
- 玉ねぎに火が通ってきたら、大き目の魚から順にフライパンに入れる
- 適宜、魚はひっくり返しながら、徐々にイカなど小さ目の魚介類(貝類以外)を加える
- エビも加え、フライパンを揺らしながらこんがりと焼く
- ある程度火が通ったらパセリを加え、赤ワインを加える
※赤ワインでないとやや酸味が強くなる - フライパンをゆすりながら、魚介類は焦げ付かないよう様子を見てひっくり返しながら煮詰める
- よく煮詰まってきたら魚介ベースのブロードとトマト缶を加える
- 貝類も加えて、もう少しブロードを足し、パセリを散らす
- 蓋をして弱火で20~30分煮込む
しっかりじっくり煮込まれたら完成!パンを添えて召し上がれ♡
手順を動画で確認!
海沿いの街で美味しい『カッチュッコ』を堪能!
イタリア人がおすすめするカッチュッコの美味しいレストラン3選
ダニエラ
1959年創業の歴史あるトラットリアで、「カッチュッコの王様」とまで呼ばれた料理人の腕と伝統を受け継いだ家族経営のお店。「真似するべき模範的な料理」と評されることも。
写真がいっぱいのノスタルジックな店内は地元に愛されるトラットリアっぽい雰囲気抜群だし、しっかりとした味付けはおススメだし、量もしっかりあります!
住所:via della Campana 20, Livorno
電話番号: 0586 889009
公式サイト:https://www.dagalileo.com/
営業時間:昼 12:00 ~ 15:00, 夜 20:00 ~ 23:30
休業日:水曜日
創業は1935年と歴史あるお店で、創業時からの伝統の味をきちんと受け継いで作られているぞ!お店の名前はリヴォルノ出身の偉大な音楽家、ピエトロ・マスカーニ(Pietro mascagni)の作品「Silvano」から名付けられたらしい。
店主はローマ教皇(当時)ヨハネ・パウロ二世などをもてなしたこともあるほど評価の高い腕前、地元の人にも、わざわざこの味を求めてやってくる人にも深く愛されていて、そのファンの中にはイタリア共和国前大統領カルロ・アツェリオ・チャンピ(Carlo Azeglio Ciampi)もいたとか。
住所:viale Carducci 39, Livorno
電話番号: 0586 402367
公式サイト:http://www.labarcarola.it/
営業時間:昼 12:30 ~ 15:30, 夜 19:30 ~ 22:30
休業日:日曜日
イタリア人ガイドマーク先輩
料理男子のポールくん
二人の兄弟が経営する、リヴォルノの伝統を忠実に守るお店。店名の「11」はイタリア人男子たるもの、熱狂せざるを得ないあのスポーツの人数!!大事でーす!
まさにこれぞカッチュッコ!という、どストライクな味、色濃くしっかり味付けされたソースは大満足間違いなしでーす!
住所:Via Bassa 8, Livorno
電話番号: 0586 880304
公式サイト:https://www.facebook.com/trattoriada11/
営業時間:昼 10:00 ~ 15:00, 夜 18:00 ~ 23:00
休業日:月曜日
あなたもお気に入りの一軒を見つけてくださいね♪