ワインの「顔」に当たるラベルのことを、「エチケット」と言います。
ここには各国で定められたワイン関連の法律に基づく大切な情報が書かれていて、それがどんなワインであるかを知る手がかりになります。
それに、造り手さんにとって大事に育てて作ったワインは自分の子どものようなもの。世の中に送り出すときには多くの人の目に留まるよう、その子どもの個性をしっかり表現してくれるデザインを考えます。
- ワインのエチケットには何が書かれているのか?
- どんなワインが個性的で楽しいデザイン?
ワインを愛してやまない、フィレンツェガイドのAzuがとっておきエチケットをご紹介します!
目次
ワインのエチケット、読み方は?
ヨーロッパにおいて、ワインのエチケットには、EUのワイン法により定められている必須記載事項と任意記載事項があります。
必須記載事項と任意記載事項
- D.O.PかI.G.Pであるという表示
【D.O.PとI.G.Pについて詳しくはこちらの記事:イタリアワインの格付DOCGやDOP、キャンティとキャンティクラシコの違いとは。】 - アルコール度数
- ワインの産地名
- 瓶詰業者名(スプマンテの場合は生産者または販売者名
ここからわかることは
- ワイン法によるある程度の品質保証があるのか、もしくはテーブルワインなのか
- どのくらいの度数なのか(お酒に強くない人には大切な情報!)
- どこの誰によって造られた(瓶詰めされた)ものなのか
という基本情報。
- ブドウの品種名
- ブドウの収穫年(※2010年以降のDOPワインには必須)
- ブドウ産地の詳細(地域名、市町村名、地区名、区画名、醸造所名、ブドウ園名)
- 特定の伝統的表示
など。
意外なことに収穫年って必ず書かないといけないものではないんです。
でも、お客さんにとって知りたい情報ではあるし、特に格式高いワインではそれもひとつのセールスポイントとなることもあるので、載せていることが多いです。
逆に、テーブルワインとして気軽に消費してほしいタイプでは、難しいことよりも、そのエチケットから楽しい時間をイメージしてほしい!という想いで、そういう情報よりもデザインにスペースを割くのでしょう。
ブドウの品種からワインタイプを予想
収穫年や産地の詳細などを覚えるのは難しいですが、品種名がわかるだけでもどんなタイプのワインか、予想がつきやすいですね。
例えば、世界各地で作られる有名な品種(国際品種)なら、一般的にこんな特徴のワインができます。
【黒ブドウ(赤ワインになる品種)】
- カベルネ・ソーヴィニョン=カシスや黒コショウの香り、渋みと骨格がしっかりした強いワイン
- シラー=凝縮された果実やスパイシーな香り、渋みがしっかりしたやや強いワイン
- メルロー=果実味があり華やかな香り、やや柔らかめで軽めにも重くもなるワイン
- ピノ・ノワール=繊細で華やかな赤い花の香り、長期熟成すると深みのある偉大なワイン
イタリア特有の品種で有名な黒ブドウなら
- ネッビオーロ=渋みと骨格がしっかりしたワイン、長期熟成に向く
- サンジョヴェーゼ=やや酸味があり、造り方によりフレッシュにも偉大なワインにもなる
- プリミティーヴォ=果実味とアルコールが強く、早飲みに向くワイン
【白ブドウ(白ワインになる品種)】
- シャルドネ=造り方により千差万別。早飲みでフレッシュなものから、格式ある造り手のものは小樽と長期熟成によりニュアンス豊かな偉大なワインまで
- ソーヴィニヨン・ブラン=青い草や柑橘系の香りが強い、骨格のしっかりしたワイン
- リースリング=チャーミングな白い花の香り、フレッシュ~フルーティで酸味もしっかりある
- ゲヴュルツトラミネール=華やかな花の香り、辛口表示でも甘味を感じることが多い
- ミュスカ(英:マスカット、伊:モスカート)=ほぼ甘口で作られることが多い
もちろん、ワインはブドウのとれた産地や醸造の仕方によってものすごくバリエーションの出る飲み物なので、一概にはいえません。
上で書いた特徴はあくまで一般論なので、品種を知らずに飲んでみたらまさかのこれだった…!( ゚Д゚)みたいなこともしょっちゅうありますよ。
ちなみに残念ながらイタリアでは国際品種よりも土着品種(その土地特有のもの)がものすごく多いので、知識は正直、あてになりません!そして、そんなときは飲んでみるしかありません!笑
もしくは、カンに頼ったジャケ買いがヒットすることが案外多いかも。
イタリアワイン vs フランスワイン
格式を重んじるおフランス、自己主張の強いイタリア?
フランスの、特にブルゴーニュとかボルドーなど歴史ある地区の歴史あるワイナリーなどは、字がいっぱいでわりとカッチリと書くべきことを書きました!みたいなものが多いです。
例えば日本でも有名なロマネ・コンティのエチケットは、全体的にすっきりして字がたくさん。瓶詰元、格付け、生産者、ロット番号などなど、まぁ、こちらは歴史あるシャトーで格付けも高いので情報を表示する必要があるのですが…
でもフランスワインでは、格付けのないV.d.T(Vins de Table=テーブルワイン)でもこんな感じで、字がメインのごくシンプルなものが多いように思います。
もちろん、中にはエチケットのデザインを専門のアーティストにお任せしていて斬新なものを使っているところもあります。が、やっぱり一般論として、全体的にイタリアワインのエチケットは自由度が高い!
例えばこんな、個性派ワインたちも勢ぞろい!!
最近見つけた、個性派ワインのエチケット
黒猫と蝶々の可愛いエチケット
黒猫が蝶々とじゃれている可愛らしいエチケット!(*´▽`*)
これは以前に共和国広場に出ていたメルカートで買ったもの。
キャンティ・クラシコ地方の小さな造り手さんで、Podere Poggio a Campoliというワイナリーです。
ワインはわずか3ha、オリーブオイルが6ha、という小規模の家族経営でされているようですが、ご夫婦ともに穏やかでニコニコとお話しされる、とても感じのいいお二人でした。
ワインは、まだ若い年数というのもありますが、とてもフレッシュで飲みやすい、チャーミングな味わい…+α、なんとも複雑な味だなぁと思ったら、サンジョヴェーゼの他に地ぶどうが数種類使われていました。
明るい紫色、香りは可憐な花のようで、きりっと酸味が効いていて、なかなか中身とエチケットのイメージが一致してます。
エトルリア人の歴史に思いを馳せるエチケット
スーパーで売っているのも個性的なものが。
Sovana(ソヴァーナ)という古いエトルリア人の町があったとされる辺りで造られたワインで、サンジョヴェーゼ、カヴェルネ・ソーヴィニョンの他にチリエジョロという地ぶどうが使われています。
カヴェルネ・ソーヴィニヨンのおかげでかなりしっかりした骨格・飲みごたえでしたがとげとげしい感じはなく、バランスも良し!!
彼(?)の手にしている壺はかなり古風なものですね。
これはアンフォラと言って、古代にワインを作るために使われていた壺の一種です。そして体から生えている部分もその壺の持ち手のような形をしていて、かなりユニークなエチケットです。
エトルリア人というのはイタリア半島の、特にここトスカーナ地方に住んでいたとされる古い民族で、紀元前7世紀頃~1世紀頃にかけて、進んだ文明を持っていた人々です。
そうそう、フィレンツェの考古学博物館にある、ブロンズのキメラ像も彼らの作品。
ゲームでも神話でも大活躍!怪物界のエリート「キメラ」。古代ローマ帝国が栄え、トスカーナ地方にも進出してくると同時に同化し民族としては消滅してしまったとされています(※諸説あり)。
エチケットの主張に情熱を懸けている!?
そして、最近の個人的な流行りの一本。
Tenute del cerroという、ピサ寄りのエリアにあるワイナリーで、エチケットがとにかく個性的。
こちらは一番お手頃なラインですが、サンジョヴェーゼ+メルローを小樽(バリック)熟成していて、ちゃんと飲みごたえがあって、日常ワインとして考えるとコスパ高い一品です。たしか4ユーロぐらいだったような。
エチケットがなかなかのインパクトで、思わず目についてしまうでしょう?
こんな個性派ワインは楽しいお食事の時間を盛り上げてくれること間違いなしですね。
可愛いエチケットのワインは旅行のお土産にも最適
イタリア旅行のお土産に、レストランで飲んで美味しかったワインを買って帰るというのもありですね。
エチケットを見るとその時の楽しい思い出も一緒に蘇ってくるし…
大切な方には素敵なエチケットのワインを差し上げるのも喜ばれます♡
また、日本に帰ってからでも輸入されているものなら手に入れることができます。
次にご紹介するのはイタリアらしいエチケットの素敵なワインたち!
レオナルドのエチケット
レオナルドの「ヴィトゥルヴィウス的人体図」がデザインされたエチケット。
レオナルド・ダ・ヴィンチの故郷の小さなヴィンチ村に行ったときにちょっと寄ってみた、Cantine Leonardo da Vinciで生産されているものです。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ルネサンスの天才を生み出した小さくつつましやかな村。こちらで生産されるワインは、エチケットに他にもモナ・リザなどレオナルドの作品が多数採用されていて、ランクもたくさんあるので、味や予算に合わせて色々な種類を揃えてみても面白いですね。
有名ワインの中でも…強烈なインパクト!!
こちらは、『スーパータスカン』と呼ばれる有名なワイン『Luce』のセカンドワイン、『Lucente』。Luceの写真は手元になかったのでこちらで!
ワイン名の『Luce』は『光』の意味。
それはそれは強烈に光っている…印象的なエチケットです。
スーパータスカンとは、伝統的な製法やワイン法に縛られず、自由に好きな品種で好きな味わいのワインを造りたい!という志から生産されるようになったもので、近年非常に人気になっています。
伝統的な製法やワイン法では、「このD.O.C.G.を名乗るならこの品種を〇%使わなければらず、この樽で〇ヵ月以上熟成させ、瓶詰めしてから〇年以上の熟成が必要…」など、規定がたくさん。
スーパータスカンは規定を守らない、ということでワイン法的なランクでは一番下の「Vino(テーブルワイン)」しか名乗ることはできません。
ですが、それでも自分のやりたいように美味しいワインを造るんだ!という造り手の意気込みが表れたワインですから、クオリティが高いものが多いです。それゆえ、そういった考えに賛同するワイン評論家や愛好家から高い評価を受け、テーブルワインランクであるにも関わらず、D.O.Pランクのものよりはるかに高値で取引される(それでも売れる)のです。
しかもこのルーチェというワインは、アメリカ・カリフォルニア州の超人気ワイン、「オーパス・ワン」を大ヒットさせたロバート・モンタヴィという人が醸造に関わったもの。ネームバリューも味のクオリティも保証付きです。
ただ、エチケットで衝動買いするには少々お高いのが玉にキズ…(^^;;、というわけでセカンドラインの「Lucente(ルチェンテ)」(上の写真)がおすすめです!こちらはお値段1/4ほど。
一度みたら忘れられない、「ドンナフガータ」
シチリアの生産者、ドンナフガータ社のエチケットはどれも素敵な女性のイラスト。
どのタイプも可愛らしくて、全種類コレクションしたくなります。
ワインもとっても美味しいですよ。シチリアで160年前からの歴史を持つワイナリーを、1983年に現経営者ジャコモ・ラッロ氏がドンナ・フガータ社として立ち上げたもの。エチケットは奥さまのガブリエラさんがデザインされているそうです。
現在では3つの醸造所、20種のワインを生産していて、真摯なワイン造りで人気です。
たくさんのワインを楽しむためには、こんな場所がおすすめ
デパ地下
普段使いの駅に大きな百貨店があれば、ワインを取り扱っているコーナーがたいていあります。
種類は限られますが試飲できるところもありますので、通りすがりに気になるワインがあったらちょっと担当の方にお話を聞いてみると、意外に想定外のおすすめワインが出てくることもありますよ。
ちなみに日本一ワインを売り上げるのは大阪の阪神百貨店だそうです。
確かにここのワインの取扱数はハンパない!!
しかも、年に2回(大体春のGW頃と、11月頃)、「阪神大ワイン祭」という無料で数百種類試飲し放題という素敵なイベントまで。
詳細情報は阪神百貨店の公式サイトでチェックしてみてください。
ワインイベント
近年、ワインファンの人が増えてきたのと、日本でもワイン生産が盛んになってきていて、各地でワイン関連のイベントがたくさん開催されるようになりました。
以前は、レストランやワインショップの方から口コミでしか情報が手に入れられなかったんですが、最近ではこんな素敵なページが!!
各地で月ごとのイベントが集められたページのようなので、近日行われるのをチェックして行ってみては♪
ワイン博物館
もし、イタリアに旅行する機会があれば、こちらは是非、訪問先のリストに♪
100種類以上試飲可能!グレーヴェ・イン・キャンティでエノテカファローニに行こう!ずらりと並んだワインたち、眺めるだけでも楽しいですよ。
エチケットでジャケ買いするのも楽しいし、じっくり試飲して選ぶのもまたよし!
美味しいワインを選んでご機嫌になったら、地元の美味しいお料理も堪能するのも忘れずに。
きっと素敵な出会いがありますよ~☆
お気に入りのエチケットがあったら、こんな便利グッズを使えば楽にキレイにコレクションしておくことができます!手で綺麗にはがすのは難しいし、これって使うのがすごく簡単で便利なんですよね(*´▽`*)
それでは、お気に入りのエチケットが見つかりますように!!