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フィレンツェNo.1イケメン!?ミケランジェロ作ダヴィデ像【後編】魅力と秘密を徹底解説!

ダヴィデ像 ミケランジェロ・ブォナローティ, 1501-1504 アカデミア美術館, フィレンツェ

前回は、フィレンツェのスーパーアイドル、ダヴィデくんの基本プロフィールを紹介しました。

今回の【後編】では、いよいよダヴィデくんの注目ポイント・見どころや、知られざる裏話エピソードをお伝えします! 

まだ【前編】を読んでないよ!というあなたはコチラからどうぞ!

ダヴィデ像 ミケランジェロ・ブォナロッティ, 1501-1504 アカデミア美術館, フィレンツェ フィレンツェのシンボル、ミケランジェロ作ダヴィデ像【前編】基本プロフィールを解説!

ダヴィデ像の魅力と秘密

それぞれの角度からの見どころ

さて、オリジナルのダヴィデくん(フィレンツェ・アカデミア美術館所蔵)はその設置方法がとても工夫されていて、360度どの方向からでも鑑賞できるようになっています。

 

それぞれの角度からじっくり見ると、色々な気づきがあります。

 

まずは正面から

ダヴィデくん正面
ダヴィデくん正面

ダヴィデくんは裸体なので、その筋肉の表現の素晴らしさをじっくり眺めましょう。

 

ミケランジェロはコネを使って病院で遺体解剖をするときに特別に現場に入れてもらい、人間の筋肉の付き方を徹底的に研究したのです。

 

そのため彼の作品で筋肉の付き方が間違って表現されているものはなく、彫刻作品で、作者はミケランジェロか?とされているものでも、

イタリア人ガイドマーク先輩
イタリア人ガイドマーク先輩

これは筋肉の表現が間違っているから彼のものではない!!

 
という主張があったり。

 この作品にも関連のお話が出てきます。

ミケランジェロのもう一つの「ピエタ」、未完成で放置されたワケ。

 

次に、左側面から

ダヴィデくん左側から
ダヴィデくん左側から

ダヴィデくんの左側面からは、その視線の先にご注目!

 

このダヴィデくんは、まさにゴリアテとの戦いに挑む直前の様子

3mもの大男だったゴリアテ(つまり自分よりも1~1.5m上にあるであろうゴリアテの顔)を見上げ、強い視線で睨みつけています。

『ダヴィデとゴリアテ』あらすじを解説!勇敢な少年は巨人を倒し、英雄となった。

 

そして、後ろへ

ダヴィデくんの後ろ姿
ダヴィデくんの後ろ姿

後ろからは、引き締まったお尻。も素晴らしいんですが、気になるのは左肩から右手に向かってうっすらと見えるたすきのようなもの。 

これこそがゴリアテを倒した武器、布一枚でできた投石器です。

 これを輪になるように先端を持って真ん中に石を置き、ぶんぶん振り回した後に一方の端をぱっと離すと…石がすごい勢いで飛んでいきます!

 

これが見事ゴリアテの頭に命中、そしてダヴィデくんは巨人を倒した英雄となりました。

 

最後に右側面から

ダヴィデくんの右側から
ダヴィデくんの右側から

ここからは、特に右手の大きさが際立っているのがわかります。

 

その理由は、当初の予定で置かれるはずだった場所に関係があります!これについては後ほど。

 

また、その手に浮き出ている血管もとてもリアルに表現されていて、ミケランジェロの技術の高さがわかります。

 

ダヴィデくんの右手
ダヴィデくんの右手
血管がリアル!!

 

実はわずかな完成作品のひとつ

ミケランジェロの作品には、未完成のものが非常に多いんです。

 

それは、

ミケランジェロ
ミケランジェロ

大理石の中に人が閉じ込められている。苦しそうだから早く出してやらないと!

 

と、彼の眼には凡人には見えないものが映っていたから…なようです。

 

そして、それぞれの作品のある段階で、

ミケランジェロ
ミケランジェロ

ふぅ、ここまで彫り出したらもう大丈夫。この人は解放されたからもう息苦しくない

 

と、納得したらやめる…らしいです。
※作品により別の経緯のパターンもあり。

旅好きナナミちゃん
旅好きナナミちゃん

ミケランジェロ…やっぱ天才は違うねぇ!

 

そして、この巨大な作品をひとつの大きな大理石の塊から掘り出したというのがすごい。

 

パーツを作ってあとでくっつけたんじゃないんです。

 

しかも石に目印の下書きをすることもなく、ノミをもつとそのままぶわーーーっと彫り出したと言われています。

 

ダヴィデ像は本当はここに置かれるはずだった

【前編】ではダヴィデくんのお引越しについてお話ししたのですが、実はこれ以前にもう一つの裏話があります。

 

最初にミケランジェロにこの作品の注文がされたときは、別の場所に置くことが想定されていました。

 

それは、こちら!

 

ダヴィデくんはドゥオモの上に行くはずだった

 

なんとドゥオモの一部、クーポラのふもとです。

 

当初の予定では、ダヴィデくんを含めた12体の彫刻を作り、設置するはずだったのです。

 

2010年にこのプロジェクトを再現する試みが行われました(使用されたのはレプリカ)。

 

これが、ダヴィデくんの頭や手の大きさのバランスがおかしい理由です。

イタリア人ガイドマーク先輩
イタリア人ガイドマーク先輩

ここに置くのなら、はるか下から見上げることになるだろう?そうすると手や頭を正しいサイズで作ってしまうと逆に小さく見えてバランスが悪くなってしまうんだよ!OK?

 

旅好きナナミちゃん
旅好きナナミちゃん

さすが巨匠ミケランジェロ、そんなことまで計算に入れて仕上げたとは…

 

そしてミケランジェロが彫り上げたダヴィデくん、あまりの出来栄えの素晴らしさに感動した注文主たちは、

ドゥオモの上じゃよく見えなくてもったいない!

 
とこの作品をどこに置こうか検討し始めます。というわけで、

ミケランジェロ
ミケランジェロ

あの上に置かんのかーい!!サイズおかしなるやーん!!

 という作者のツッコミは置いとかれ、共和国のシンボルとして政治の中心地・ヴェッキオ宮殿前に設置されることが決まったのでした。

 

ダヴィデ像の目に隠された秘密

そのまま見るとちょっと遠くて見づらいんですが、ダヴィデくんの目、実はこうなっています。

 

なんと、♡♡♡ハート型!!♡♡♡

旅好きナナミちゃん
旅好きナナミちゃん

あらっ、ほんとにキレイなハート型ー!どうしてー??

 

イタリア人ガイドマーク先輩
イタリア人ガイドマーク先輩

これは瞳に映りこんだ「」を表しているんだ!!

 こんな風に瞳に白く光が映った部分があると、表情が作られますよね。もし、これがなくて全部が同じ黒や茶色の一色だとしたら、とても無表情でちょっと怖ささえ覚えてしまうような。

 

マンガでも、ハイライトとして目に白い部分が描かれることが多いですよね。

 

ダヴィデくんは、まさにいまからゴリアテとの戦いに挑む直前の場面。

 

下から見上げるとちょうど瞳の上の部分に光を受けている様子を表していて、数メートル上にある敵の顔を睨みつけ、絶対に倒すぞ!という強い意志が表現されています。

旅好きナナミちゃん
旅好きナナミちゃん

うーん、ミケランジェロは、そんなことまでも考えて…つくづく天才だねぇ~

 

そんなダヴィデくんの魅力をしっかり満喫するには、やっぱりコピーではなく、オリジナルでしっかり鑑賞するのがおすすめ!!

ダヴィデ像 ミケランジェロ・ブォナローティ, 1501-1504 アカデミア美術館, フィレンツェ アカデミア美術館