切なくて可愛い、ギリシア神話。「アモレとプシュケ」

      2017/01/17

アモレとプシュケ

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この可愛らしい彫刻は、ウフィツィ美術館にあります。

紀元前4世紀頃のヘレニズム彫刻をローマ時代にコピーされたもの(つまり作者不詳)

ボッティチェリの「春」、「ヴィーナスの誕生」、レオナルドの「受胎告知」など、

大作の陰に隠れてしまい、他の多数の美術品同様、なかなか注目されることが

少ないんですが、とても可愛らしいこの二体の彫刻と、

それにまつわるエピソードをご紹介します♡



ロマンチックなギリシア神話の物語

主な登場人物

アモレ、別名キューピッドは、ギリシア神話に登場する人物。

愛と美の女神ヴィーナスを母に持つの神です。

ゾウの はなこちゃん
ナガトモ選手が「僕のアモーレ(愛する人)」って言ってたね~ 

プシュケはある国の王様の娘で、三人姉妹の末娘。

その光り輝く美しさが非常に有名でヴィーナスのもとにまで噂が届き、

愛と美の女神としてこの世で一番の美を誇るヴィーナスは激しく嫉妬しました。

愛と美の女神ヴィーナス
このわたくしより美しいとか言い出す輩まで…

許せませんわ!!!( `ー´) 

 

というわけで、ヴィーナスは良からぬ企みを始めます。

解説のひと
ラテン語だと「アモレ」⇒「エロス」に、「ヴィーナス」は「アフロディーテ」という名前になります
解説のひと
このお話は、ローマ帝国時代の作家アプレイウスによる「Le Metamorfosi/変容(または黄金のロバ)」という作品に登場します

 

 

アモレとプシュケ、運命の出会い

さて、嫉妬にかられたヴィーナスはこんな行動に出ました。

愛と美の女神ヴィーナス
息子アモレよ、このわたくしに対抗する不届きな小娘プシュケを世界一醜い男と恋に落ちさせなさい! 
アモレ
かしこまりました、母上!!

 

アモレの黄金の矢で射られた者は、アモレが選んだ者に恋してしまうのです。

ちなみに、彼が持つもう一つの矢、鉛の矢で射られた者は恋する心を失ってしまいます。

 

さて、大好きな母の命令でいそいそとターゲットのプシュケのところにやってきたアモレ。

アモレ
あれだな、今日のターゲットは…ほほぉ、噂の通り結構なべっぴんじゃないか…

アモレ
アイタッッッ!!!(+o+)

 

なんと、プシュケの美しさに気を取られていたキューピッドは、

自分の矢で自分を傷つけてしまうのです。

 

結果。

 

アモレ
なんて美しい娘なんだ…あんなブサイクのところに嫁にやるなんてもったいなすぎる!!!
アモレ
家に連れて帰って僕が面倒を見よう!

 

というわけで、何も知らないプシュケは訳がわからないまま、

風に乗って遠くアモレの宮殿へ運ばれていきます。

ちなみにこの時にお手伝いしたのがアモレの友達の西風の神ゼフィロス

この人はちょくちょく美術作品に顔を出す人なんですが、例えば

ヴィーナス誕生

ヴィーナスの誕生
サンドロ・ボッティチェリ, 1485頃
ウフィツィ美術館, フィレンツェ

この左側を飛んでいる男性が彼です。

この絵でも海の真ん中で生まれたヴィーナスを岸まで送り届けるお手伝いを…笑

 

甘い生活♡

そんなわけで彼女はアモレの宮殿に連れてこられ、二人は夫婦となったのですが、

アモレにとってはこのことが母ヴィーナスにバレることが何より怖い!!

(憎くてたまらないプシュケが息子の嫁だなんて、想像するだけで地獄ですね… 😥 )

 

そこで、アモレはプシュケに自分の正体を話さず、また、必ず夜にしか会いに来ませんでした。

暗闇にまぎれて現れ、夜が明けきらない暗くてまだプシュケが眠っているうちに去ってしまうのです。

そして、プシュケには「自分の顔を見てはならない」と厳しくいってありました。

 

プシュケは顔や姿がわからない夫ではありましたが、

とても優しく自分を愛してくれるし、満足はしていたのです。

 

ですが、今も昔も(現実もおとぎ話も)「余計なお世話」の人がいるものです。

 

プシュケ、そそのかされる

プシュケは姿の見えない夫に満足していましたが、やはり

psiche

…ってね、思いますよね、普通ね

しかも結婚する前とかじゃなくて、もう結婚してますからね( ゚Д゚)

 

ある日、プシュケは姉たちにふとこのことを話します。

すると、常々、プシュケが自分よりも評判の美人である上に

宮殿でいい暮らしをしてることに嫉妬していた姉たちは、

プシュケの姉1
きっとあなたの夫は野獣なんじゃない?それで姿を人前に見せられないのよ!
プシュケの姉2
そうよ、間違いないわ!一度、夜中に夫が眠っているときに確かめてごらんなさい

とプシュケをそそのかしました。

 

純粋な彼女は、それもそうかと思い、ある夜、姉たちに言われた通りに、

夫が寝た後にこっそり起き出してランプの灯を持って近づきます。

 

顔を照らしてよく見ようとしたその時、

 

照らし出された夫のあまりに美しく神々しい姿に驚いたプシュケは、

ランプのオイルをアモレの上に落としてしまいます

熱さとやけどで目を覚ましたアモレは妻が自分を信じなかったことに

失望し、飛び立ってしまいました。

 

アモレ
愛は疑いとは一緒にいられない…

と言い残して。

 

残されたプシュケ

残されたプシュケ
ピエトロ・テッラーニ, 1819
近代美術館, フィレンツェ

残されたプシュケはひどく後悔しますが、後の祭り。

 

去ってしまった彼の後を追うことを決意し、旅に出ます。

 

プシュケの試練

プシュケは最初に大地の豊穣の女神セレスの神殿を訪れました。

そこで神殿の床に散らばった雑穀類を拾い集め、仕分ける仕事をします。

プシュケがその仕事を終えた時、セレスは助言として

アモレを探したいのなら、母ヴィーナスのところに行くのが一番早いですよ

と教えました。

 

ゾウの はなこちゃん
よりによって、いちばん怖い人のところに…(;・∀・) 
でも、愛するアモレにどうしても会いたかったプシュケは

勇気を振り絞って姑ヴィーナスのところに行きます。

 

試練その1:無数の雑穀の仕分け

愛と美の女神ヴィーナス
息子をあんな目に遭わせておきながら、よくもわたくしの前に顔を出せたものね…
愛と美の女神ヴィーナス
よろしくてよ、わたくしの命令をすべて実行できれば息子の居場所を教えるわ
愛と美の女神ヴィーナス
まずは、この散らばった穀物を全部集めて仕分けしなさい!ただし、時間は限られているわよ

なんと、さっきセレスのところでやったはずの同じ仕事を、

しかもさらに厳しい条件でやり終えなくてはなりません。

ゾウの はなこちゃん
ヴィーナスさん、意地悪すぎ!!プシュケちゃん、可哀想…(´・ω・`)

 

しかし、この時どこからともなくたくさんの蟻さんたちがやってきてプシュケを助けてくれます。

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お手伝いしまーす♪

 

試練その2:黄金の羊の毛皮

愛と美の女神ヴィーナス
なっ…なんてこと、終わったの!?じゃ、じゃあ、次は草原に行って黄金の羊の毛皮を取ってきなさい!!

 

プシュケは草原に出かけますが、そこで見たのは非常に凶暴で危険な黄金の羊。

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凶暴な黄金の羊

 

彼女が途方に暮れていると、たまたま通りかかった川の神が助言をくれます。

あの羊たちはとても凶暴で危険だ、近寄ると殺されてしまう。

でも、もしどうしてもやらなくてはならないのなら、お昼過ぎまで待つとよい

そうすると、羊は丘の高いところまで行って眠るから、その隙に毛皮を取りなさい

プシュケはこれに従い、木の枝と樹皮に身を隠し、見事指令をやり遂げます。

 

試練その3:冥府の女王プロセルピナ

愛と美の女神ヴィーナス
なっ…なんなの!!……わかったわ…
愛と美の女神ヴィーナス
あなたが息子アモレを傷つけたせいで、わたくしの美貌もストレスで失われてしまったわ。冥府の女王プロセルピナのところへ行って美を分けてもらってきてちょうだい

 

ヴィーナスは事も無げにこう言い放ちますが、

人間であるプシュケが冥府に行くということはすなわちを意味します。

つまり、愛のためなら死んでみせなさいと言っているのです…!

 

ゾウの はなこちゃん
ヴィーナスさんが怖すぎるのです…( ゚Д゚)

 

しかしプシュケの決意は固かったのです。

冥府に行くために、塔から飛び降り自殺を図ろうとしたプシュケ。

その直前に天からそれを止める声が降りてきて、彼女に冥府への道を指し示します。

 

こうして無事、プロセルピナから、美を小箱に入れて分けてもらったプシュケ。

実は箱を受け取ったときに、ヴィーナスに渡すまで決して開けてはならないと警告されていました。

ですが、帰り道、ふと水面に映った自分の姿を見て、その容貌の衰えに気づきます。

ゾウの はなこちゃん
いっぱい苦労したもんねぇ…

 

このままではアモレに会えたとしても、もう愛してもらえないかもしれない…!!

不安に駆られたプシュケは、ついに…!

箱を開けるプシュケ

黄金の箱を開けるプシュケ
J. W. ウォーターハウス, 1903

 

ゾウの はなこちゃん
あ、開けちゃったよ……

 

するとそこに入っていたのは、「美」ではなく、「永遠の眠り」。

プシュケは醒めることのない眠りについてしまいます。

ゾウの はなこちゃん
し、死んじゃったの…??

そう、しかしここは神話の世界。ナンデモデキル。

 

傷の癒えたアモレがここで登場!!

アモレ
あっ、僕のプシュケちゃんが…!!

愛しのプシュケが倒れているのを見つけ、その目から「永遠の眠り」を取り去り、

箱に戻します。

そして、アモレのキスで目覚めるプシュケ。( *´艸`)

カノーヴァ アモレとプシュケ

アモレとプシュケ
アントニオ・カノーヴァ, 1793
ルーブル美術館, パリ

このシーンはこのパリ・ルーブル美術館にあるアントニオ・カノーヴァの作品が有名ですね!

その躍動感や、不安定な体勢のアモレを表現して瞬間を切り取っているのが見事です♪

 

解説のひと
カノーヴァはヴェネツィア出身の彫刻家で当時から絶大な人気を誇り、フランスとの交渉(当時は色々ありまして…)で見事な役割を果たした人です。フィレンツェにも、名作をいくつか残しています

 

 

その後の二人

プシュケを目覚めさせることに成功したアモレは、

そのひたむきな一途さに心を打たれて、自分たちの結婚を認めてくれるよう

万能神ゼウスに願い出ます。

ゼウスはこれを認め、神々の酒ネクタルをプシュケに飲ませました。

これにより、プシュケは女神となり、背中には蝶の羽が生えます。

愛と美の女神ヴィーナス
女神になったのなら仕方ないわね……

と、ヴィーナスもしぶしぶではありますが二人の結婚を正式に認め、結婚式に参加。

 

後日、二人の間には「Volputa / ヴォルプタス(喜び)」という子が生まれました。

ゾウの はなこちゃん
はぁ~、めでたしめでたし♪

 

フィレンツェで大人気のヴィーナスさんがこんなに怖い裏キャラを持っていたなんて…

とがっかりされた方。今度、ヴィーナスさんの可愛らしいエピソードを探しておきます。

 

最後に一枚

ウィリアム・アドルフ・ブグローという19世紀フランスの画家の作品。

ご紹介したエピソードよりもはるかに幼い子どもの姿で描かれていますが、

その純粋さや、小さな羽がとっても可愛らしいですね(*‘ω‘ *)

プシュケの羽はちゃんと蝶のそれになっています。

顔立ちはフランス人らしい表現で、本当に天使のような美しさ。

アモレとプシュケ ブグロー

こどものアモレとプシュケ
ウィリアム・アドルフ・ブグロー, 1890

 

別名「ファーストキス」とも呼ばれる作品です。

この記事を書いた人
フィレンツェの観光ガイド、Azuです。 初めてイタリアを訪れて以来、すっかり魅せられ毎年旅行するうちについに住んでしまい、観光ガイドに… ⇒詳しいプロフィールはこちら 既にフィレンツェファンの方も、イタリアのどこ?何があるの?な方も、楽しんでいただけるよう色々な情報を発信していきたいと思います。

 

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